松の剪定で景観アップ 和歌浦で取り組み

剪定され見通がよくなった

伸び放題になっていた松(木村所長提供)

伸び放題になっていた松(木村所長提供)

古くから多くの歌人に愛され、万葉集にも詠まれてきた国の名勝「和歌の 浦」。半世紀にわたって手付かずだった市町川沿いの松の剪定(せんてい)がこ のほど行われ、美しい景色を一層楽しめるようになった。

剪定されたのは、不老橋から曙橋まで約300㍍の区間にある約30本の松。 管理する市の事業として行われた。松はこれまで、大きな枝が伸び放題で垂れ下 がった状態になっており、対岸の見通しが悪く、一部では車道を走る車の妨げに なることもあった。住民の声を受けて市が手入れをすることも何度かあったが、 大規模な整備は今回が初めてという。
「地域住人と自治体による有機的なまちづくりの試金石としての第一歩。今後 は地域の本気度が問われている」
そう話すのは、和歌浦出身で、都市音環境計画研究所(東京)の木村英司所長 (52)。木村所長は約15年前から、歴史的遺産を生かしたまちづくりについ て、県民レベルで考えようと、地元和歌浦でほぼ毎年シンポジウムを開いてき た。昨年はこれまでの総括として、県や市の担当者を交え、市町川沿いの水辺環 境の整備の重要性を訴えた。今回、それらの声を受けて行政が動いたかたちに なった。

剪定後は、奠供山を中心に、鏡山や雲蓋山を連続した風景として、ゆったりと 楽しめるようになった。木村所長は「観光の最低限のかたちができた。今後は地 域住民も行政任せでなく、価値あるものに育てていこうという意識が重要。官と 民が協力してこそ、維持されていくもの」と語す。
川の放置船舶については市が3年前から撤去を進め、当時の約45隻から十数 隻になった。河川港湾課では、残された船は来年度中に撤去したいとしている。
木村所長は市町川のヘドロや水質改善も課題に挙げ「最終的に市町川が生かさ れ、水辺環境の在り方をアピールできるようなモデルにしたい」と話している。

記事元:わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。