県内初の聴覚障害デイサービス ぶらくりに

和やかに交流する利用者

手話でコミュニケーションをとる聴覚障害者を対象にした県内初のデイサービス施設、地域活動支援センター「紀州の手」が昨年12月、和歌山市元寺町の中ぶらくり丁内にオープンした。利用者同士が手話でおしゃべりを楽しみ、笑い声が絶えない。運営する県聴覚障害者協会の福田美枝子会長(60)は「まだ開所して間もないですが、『毎日来たい』と皆さん楽しく利用されています」と話している。

同協会によると、障害者のためのデイサービス施設は多くあるが、周囲の利用者も職員も聞こえる人がほとんど。そのため聴覚障害者は手話でコミュニケーションをとることができず、孤独を感じたり、なじめずにいたりすることが多かったという。

同会は3年前から月に2度、孤立しがちなろう高齢者が交流できるサロン会を開催してきた実績もある。聴覚障害者のためのデイサービス施設を望む声を受けて、開所に至った。

利用できるのは、和歌山市内に住み、障害者手帳を有する18歳以上の人。主に聴覚障害者と重複障害者が対象で、利用には市障害者支援課への申請が必要。手話のできるスタッフ7人が交代でサポートする。現在は30人近くが登録し、20代から80代までが利用している。

デイでは手芸や編み物、健康教室などさまざまな内容を企画。利用者は昼食を囲みながら、手話で自由に会話して過ごしている。同協会によると、聴覚障害者が抱える悩みに多いのが、正確な情報が入ってこないこと。さまざまな悩みを共有し合いながら、社会生活に必要な情報支援の場にもしたいという。

利用者の瀧本忠行さん(73)は「施設ができて本当に良かった。手話でいろんな交流ができて楽しい」と笑顔。福田会長は「多くの方は、声を出して耳で聞くという音声言語ですが、私たちは手話が言語。手話への理解や認知を広げていけたら」と話している。

今後は岩出市や紀の川市、海南市などにも開所を目指す。また、同協会は平成29年秋に県内初のろうあ老人ホーム建設を目指し、募金活動を継続中。施設の問い合わせは「紀州の手」(FAX073・488・8751、℡073・488・8752)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。