津波犠牲者ゼロへの挑戦 西名誉館長語る

「津波の犠牲者を一人も出さないことが最大の目標」と語る西さん

国連総会で制定された11月5日「世界津波の日」の原点となった濱口梧陵の功績を伝える広川町の津波防災教育施設「稲むらの火の館」の名誉館長に、元公明党衆院議員の西博義さん(67)=和歌山市=が1日付で就任した。東日本大震災から11日で丸5年を迎えるのを前に、人々の防災意識を高める重要性を訴え、「濱口梧陵の教訓を広めていきたい」と決意を新たにしている。

西さんは広川町出身で、梧陵が創立した耐久高校を卒業し、徳島大学大学院工学研究科修士課程を修了。和歌山工業高専に化学の教官として赴任し、助教授まで務めた後、平成5年の衆院選に旧和歌山1区から公明党公認で立候補し初当選。連続6期を務め、厚生労働副大臣、党県本部代表などを歴任し、24年に政界を引退した。

名誉館長就任に当たり、「代議士時代も含めて、お世話になった地元の皆さんのお役に少しでも立ちたいという思いでいっぱい」と表情を引き締める。

西さんの父・旧姓小山六郎さんは昭和10年代、現在の稲むらの火の館に隣接する梧陵の生家に書生として住み込み、庭の手入れなどの手伝いをしながら吉備実業学校(現有田中央高校)に通っていたとのことで、「父子2代でお世話になり、不思議な縁を感じています」。

名誉館長に就任して間もないが、さまざまな取り組みを思い描いている。「津波で亡くなる人を一人も出さないことが最大の目標。濱口梧陵の教えを子どもたちに語り継ぎ、大人にも、もう一度防災意識を高めてもらうよう、国内外に情報を発信していきたい」と話し、梧陵の教訓を伝承していくことで人々の意識高揚につなげていきたいと強調する。

稲むらの火の館は1月、約24万人が犠牲となったインド洋大津波で甚大な被害を受けたインドネシア・アチェ州の「アチェ津波博物館」と協力協定を締結。自然災害の災禍と教訓を知る地域同士が連携する重要性を指摘し、「東北や神戸、アチェとネットワークを構築し、稲むらの火の館を防災に関する広報や研究の拠点にしていきたい」と展望を語る。

「津波や自然災害に対しては、一人ひとりの努力で犠牲者や被害を減らすことができる。津波が到達するまでにどのような行動を取るか、それは地域によっても異なるので、住民それぞれが最善の方策を常に頭に入れておくことが求められている」とし、「多くの人々に館に来てもらうことで、意識を高めてもらえるよう、さらに施設を充実させていきたい」と力を込める。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。

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