日本とトルコに通ずる真心 田中監督語る

撮影現場でのエピソードを紹介する田中監督

串本町を舞台にした日本トルコ合作映画『海難1890』の田中光敏監督(57)が18日、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛で講演。映画の撮影秘話を紹介し、約200人が、映画の根幹にある「真心」について語る田中監督の言葉に、熱心に耳を傾けた。

県青少年育成協会(会長=仁坂吉伸県知事)の通常総会内で、記念講演「映画『海難1890』の製作現場で学んだこと~日本もトルコも同じ心を持っていた~」として開催。

同作は1890年、串本の紀伊大島沖で起こったトルコ軍艦「エルトゥールル号」遭難事故で、村人が懸命に救護したこと、その95年後のイラン・イラク戦争時の、テヘラン空港での日本人救出劇という2つのエピソードを軸に、両国の友情を描いている。

講演で田中監督は、「映画のテーマ『真心』という言葉は、日本ではあまり使われなくなったが、それは失われつつあるということではないか」と言及。史実を調べる中で「目の前に困っている人がいれば、助けるのは当たり前」というトルコ人パイロットの言葉は、大島の人たちの思いにも重なったと話した。

撮影では地元エキストラの力は大きく、串本ではトルコの乗組員を村人が笑顔で見送るシーンなのに、感極まった様子で涙が止まらなかったというエピソードを紹介。映像はそのまま採用され「実際に救出劇が起きたまちで撮ったからこそ生まれた場面だった」と振り返った。

テヘランでの空港シーンでは、監督の話を聞いた大勢のエキストラが、胸がいっぱいになり涙していたという。「和歌山の樫野にいる人たちと同じ思いだと感じた」と話し、女性たちが感謝を伝えようと、ティッシュで国花のチューリップの花を作り、置いて帰ってくれたことも明かした。

また、この日から、カナダでも劇場公開が始まったことにふれ「映画を形にすることが最終目標ではなく、ここからがスタート。世界中の人たちに、日本人が誇れる、和歌山から起きた平和や友情の連鎖を伝えていきたい」と語った。

総会では、昨年度の事業報告や決算などを承認。本年度の取り組みでは、大人一人ひとりが青少年に関心を持ち、「地域の育成力」を高めること、青少年の居場所づくりなどの活動を展開していくことを確認した。

役員人事では、常務理事に古田雅昭県青少年育成協会事務局長、理事に日吉康文県環境生活部長が新任となった。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。