玉津島神社の伝来資料を一堂に 市立博物館

市指定文化財の三十六歌仙額や奉納和歌を紹介

玉津島神社(和歌山市和歌浦中)の伝来資料を一堂に展示する夏季特別展「玉津島―衣通姫(そとおりひめ)と三十六歌仙―」が8月21日まで、和歌山市湊本町の市立博物館で開かれている。昨年からことしにかけて、同神社所蔵品が相次いで市の指定文化財に登録されたことにちなんで開催。神社や和歌浦の歴史を約120点の資料で紹介している。

17日に行われた展示解説では、同館の小橋勇介学芸員(33)が、同神社の成り立ちや、祭られている衣通姫についてひもときながら紹介。中世には社殿のなかった玉津島神社が、初代紀州藩主の徳川頼宣(よりのぶ)らによって整備された経緯を話した。

見どころの一つ、昨年市の指定文化財となった「三十六歌仙額」(期間中に入れ替えあり)は、優れた歌人の肖像を、藩のお抱え絵師・狩野興甫(こうほ)が描いたもので、頼宣が寄進。京都の公家や門跡が和歌を記し、詠歌の筆者を示す付け札は、紀州藩の儒学者・李梅渓(りばいけい)が担当しており、優れた作品とされている。

併せて、ことし5月に市指定文化財に登録された、朝廷からの奉納和歌の短冊も並び、小橋学芸員は「天皇が書いた短冊が、京都から離れた地で、大きな神社以外で伝わっているのは非常に珍しい」と話した。

その他、京都の冷泉(れいぜい)家との結び付きを示す資料や、ウサギの装飾が施された豪華な脇障子、薩摩の盲目の歌人が眼病平癒のために同神社に奉納したという、縦・横・斜めから詠んでも成立する、技巧に富んだ和歌も紹介されている。

会期中の土・日曜日(午後1時~4時)は、玉津島神社で、県指定文化財の神輿(しんよ)が特別公開されており、小橋学芸員は「和歌の神としてあがめられ、多くの崇敬を集めた玉津島神社。あらためて歴史の奥深さを感じ、ぜひ実際に和歌浦を訪ねてもらえれば」と呼び掛けている。

展示解説は23日、8月13日、20日の午後2時から。30日には、神道宗紀氏(元帝塚山学院大学教授)による特別講演会「奉納和歌と玉津島神社」、8月6日には小橋学芸員による講演会「玉津島神社の歴史―古代から近世まで―」がある。どちらも午後2時から同館2階講義室で。問い合わせは同館(℡073・423・0003)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。