熊本地震の記憶をつなぐ 照井さん写真展

被災地の様子を伝える写真の前で

熊本地震の発生から1カ月後の被災地を見つめた、有田市の写真家、照井四郎さん(68)の写真展「熊本地震 発生1カ月の記録」が8月2日まで、和歌山市本町のフォルテワジマ4階特設スペースで開かれている。地震発生から3カ月以上。被災地の報道が少なくなる中、照井さんは「現地の惨状を知り、今一度、支援の目を向けてもらいたい」と話している。

照井さんは、熊野の自然や人の暮らしの撮影をライフワークに活動。雲仙普賢岳の火砕流や阪神淡路大震災、東日本大震災、紀伊半島大水害時にも現地に入り、今も継続して取材を行っている。

熊本は長女が嫁いだ地でもある。長女と孫が合志市から和歌山へ一時避難した後、照井さんは5月14日夜にフェリーで和歌山を出発、翌15日から18日までの4日間、特に被害が大きかった益城町の他、阿蘇市、南阿蘇村、西原村などを車で巡り撮影した。

写真は、天守閣の瓦が崩れ痛々しい姿になった熊本城、粗大ごみであふれるグラウンド、子どもたちを元気づける「くまモン」、亀裂の入った道路や、避難所や車中で生活する人々など75点。自然のエネルギーのすさまじさや、そこに生きる人の暮らしを伝えている。

「震災後の様子がニュースで報じられなくなっている。南海トラフ巨大地震の発生が懸念される和歌山も、決して他人事ではないはず」――。そんな危機感を募らせ、写真展の開催を決めた。

現場では音声レコーダーを持ち歩き、人の声に耳を傾ける。「今日もすてきな一日だった」、そう日記につづった後、がれきの下敷きになって亡くなった80代の男性の家族にも出会った。印象的だったボランティアの言葉などのエピソードも、写真と共に添えられている。

阪神淡路大震災直後にも、壮絶な現場を記録。カメラを向けるのがはばかられるような場面でも、常に「なぜ撮るか」を自身に問い掛けてきたという。

「写真があるからこそ、現状を知ることができる。薄れゆく記憶をつなぐ記録者でありたい」と真剣な表情。撮影時の熊本は、ようやく仮設住宅の建設工事が始まった頃だったため「単にその場を写して終わり、では無責任。今後も継続して復興までの道のりを追い続けていきたい」と話している。

会場には復興支援として募金箱も設置。30日午後1時からは照井さんが写真への思いを語るギャラリートークがある。展示は午前10時から午後7時(最終日は5時)まで。問い合わせは同所(℡073・488・1900)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。