劇団ノスタルジア30周年 初の悪者譚上演へ

30周年記念公演へ意気込む団員たち

和歌山市を中心に活動する劇団ノスタルジアの結成30周年記念公演「月影―ツキノヒカリ―」(本紙など後援)が25日、和歌山市の県民文化会館小ホールで行われる。笑いあり、涙あり、王朝文学の叙情的な世界を描いたエンターテインメントファンタジー。劇団として初めて悪者を描いた作品で、岡崎義章代表(53)は「集大成というより、これまでのものを壊し、次へ向かうステップにしたい。和歌山のお客さんが出合ったことのない表現を目指します」と意気込んでいる。

同劇団は代表を務める岡崎さんが中心となり、昭和61年に結成。上演作品は全てオリジナルで、岡崎代表が作・演出を手掛ける。

現在は10代から50代までの15人が所属。結成当初は舞台にオートバイを走らせるなど、それまで誰も見たことがないような演出で観客を驚かせた。最近は最小限の舞台装置の中で、観客の想像力をかき立てることに注力。役者の個性を生かした芝居を上演してきた。

公演は今回で15回目。定期公演以外では、平成13年に近畿高校総合文化祭のデモンストレーション「紀の道」を作・演出。18年には創作劇「稲むらの火と浜口梧陵」で中高生に指導した。高校生や大学生を対象にしたワークショップを開く他、文化庁助成事業の「演劇大学」でも、演技指導などで若手の育成をサポートしている。

今回の記念公演は、芥川龍之介の小説『羅生門』『偸盗(ちゅうとう)』『地獄変』などからイメージを膨らませて創作。平安時代の京の都を舞台に、盗賊たちが貴族の娘と出会うことで、思わぬ悲劇へと展開するというストーリー。

「過酷な世の中を生き抜こうとする悪党や盗賊たちの姿は、現代とリンクする部分もあり、今を生きる人たちへのメッセージでもあります」と岡崎代表。

「これまでの作品に〝悪い人〟は登場しなかったが、今回は心に闇を抱えた悪党たちを徹底的に描こうと思った。月の光に照らされ、あぶり出される人間の生々しさが見どころ」という。

団員の川崎ゆかりさんは「一体誰が一番悪いのか…。これまでとは、一味違った世界感を楽しんでもらえるはず」。北出千佳さんは「それぞれの置かれている立場や背負っているものも違い、皆さんに置き換えて見てもらえれば」と呼び掛ける。

岡崎代表は「形ではなく、心の中にしか残らない一期一会の時間が演劇の魅力。芝居をする人、見る人が少なくなる中、演劇文化の裾野を広げ、芝居好きを増やしたい」と話している。

午後1時半から、5時半からの2回公演。前売り2000円、中高生1000円。当日は500円増し。チケットは同館や市民会館、和歌の浦アート・キューブで販売。問い合わせは同劇団(℡073・456・0414)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。