和のフラメンコを発信 舞踊家・森さん出版

著書を手にする森さん

和歌山市出身で、和楽器やイリュージョンなどを取り入れた〝和のフラメンコ〟を世界に発信するフラメンコ舞踊家の森久美子さん(61)が、本紙に連載したコラム「スペインの風」をまとめた書籍『スペイン子連れ漫遊記』(東京図書出版、145㌻、税別1200円)を発刊した。現在のスペイン情勢なども書き加え、より充実した内容となっている。

同連載は平成25年4月から27年12月まで本紙に月1回掲載し、現在は続編「スペインの風の下で」を連載している。
森さんは和歌山フラメンコ協会会長、フラメンコアカデミア〈ラ・ダンサアンダルシア〉主宰。県内外にフラメンコの魅力を伝える活動を展開し、国内外で数多くの公演をプロデュースしている他、これまでに1000人以上を指導。平成21年度県文化奨励賞を受賞している。

約30年前、森さんは本場のフラメンコを求め、当時小学生だった2人の娘を伴いスペイン一周の旅に出発。森さんにとって初めての海外旅行で、当時はスペイン語を全く話せなかったという。
同書には、貧乏旅行ならではの旅の光景、ユーモアや感動がたっぷりのエピソードが満載。「不便な時代にわざわざ小学生の娘2人を連れ、ウロウロしながら、我慢と辛抱を道連れにした私の貧乏旅行など興味を持ってもらえないかもしれないが、それでもあえて『便利が全てではないし、いつも楽な方が良いのはどうか?』と思う」と森さん。「五感を通して各地のフラメンコを思う存分吸収できた」と振り返り、「ユーロ圏に入る前の、独特の雰囲気が残るスペインを旅するような気持ちで読んでいただければ」と話している。

後に“和のフラメンコ”の創作に取り組む原点について森さんは、「旅でフラメンコと日本文化との共通点を感じたからだったかもしれない」と話す。
ガウディが設計したバルセロナのグエル公園での出来事。雨の中でフラメンコの「マルティネーテ」の歌声が聞こえ、「何故か遠い昔に聞いたことがあるようなこぶしのまわり方が、むせるほど懐かしかった」(同書より)。フラメンコの歌が日本の民謡のように聞こえてきたという。

帰国後の平成11年、南紀熊野体験博でフラメンコと和楽器を融合させた作品「MONONOKE」を披露。「鳴り響く太鼓の音にいつもと違う高揚感を覚えた。フラメンコが自分の中に入ってきた。やはり自分には日本人の血が流れている」と感じたという。同12年のニューヨーク公演を機に、和楽器やイリュージョンなどを取り入れた独自のフラメンコ世界を確立した。

以降、「舞台を通して和歌山の地域活性化に役立ちたい」との思いから、地元和歌山をテーマにした作品「炎の道成寺・清姫伝説」や「侍フラメンコ~吉宗~」を発表。「今までの経験全てを込め、紀州が誇る8代将軍吉宗公の史実とフラメンコを融合させた」と語る「侍フラメンコ」は、ことし4月にスペイン、9月に大阪でも公演し、高い評価を得た。
スペインと日本、和歌山をフラメンコで結ぶ森さんの活動はこれからも続く。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。