2度目の新作家賞受賞 洋画家・柿原さん

受賞作品「運河とタンクの立つ街」

和歌山市西庄の洋画家・柿原康伸さん(79)が、東京の国立新美術館で開かれた「第80回新制作展」(新制作協会主催)で2度目の「新作家賞」を受賞した。作品は2㍍80㌢×1㍍30㌢の油彩の大作「運河とタンクの立つ街」2点。柿原さんは「2度目は難しいと思っていただけに、賞をもらえてうれしい。80歳を前に、一層絵画への情熱を燃やしています」と喜んでいる。

柿原さんは新制作協会協友、日本美術家連盟会員、県美術家協会会員。20代の頃はテキスタイルデザインの仕事を手掛けたが、画家の道に転向。37歳で大阪市立美術館付設美術研究所に入り、昭和51年の第40回新制作展に初出品し、初入選。体調を崩して休んだ期間もあったが、以後入選は29回を数える。平成24年に「絵画部賞」、翌年に1回目の「新作家賞」を受賞している。

新制作協会は昭和11年、小磯良平や猪熊弦一郎らが反アカデミック、新芸術を掲げて創立した全国的な美術団体。絵画部の他、彫刻部、スペースデザイン部がある。

今回、絵画部への応募は930点あり、336点が入選。入賞は新作家賞10人、絵画部賞8人、損保ジャパン賞と80回記念賞に各1人が選ばれた。

同展は厳しい審査で知られ、最高賞の「新制作協会賞」の絵画部受賞者は45年間で出ていない。そのため、新制作賞は実質のトップといえる賞だという。

受賞作は、運河に浮かぶたくさんの塔や建物を描いたもので、縦に長い画面は、柿原さんにとっても初の挑戦。「いつまでも同じようなものを描いていてはいけない」と一念発起し、これまでのほぼ正方形とは違うサイズでパネルを手作り。少し引いてまちを遠くから眺め、塔やビルなどの構造物が上に伸びていくように画面に配置した。

ここ数年、同展への出品作は一貫して港町の風景をテーマに描いてきた柿原さん。汚れた工場や船など、全体的にまったりとした灰色だったが、今回は水面の青や建物の白が際立ち、色彩が加わった。存在感のあるタンクを誇張せず、全体に溶け込むよう表現。画面上部の遠景のまち並みは、特に絵の具を厚く塗り重ねた。

描き上げた際、「これはいける」という手応えと達成感があり、入選結果の発表前には、縁起が良いとされる富士山の夢を見たという

柿原さんは「周りからは『今までの作品の中で一番良い出来』という声をもらった。ここまで続けてきて『もう一度(受賞を)』という思いもあり、さらに上を目指して描き続けたい」と意欲的に話している。
新制作京都展が23日まで京都市美術館で開かれ、柿原さんの作品も展示されている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。

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