麦の郷が開設40周年 記念の講演や座談会

利用者らがステージで合唱を披露

社会福祉法人一麦会(田中秀樹理事長)が、和歌山市や紀の川市で展開する障害者支援施設「麦の郷」の開設40周年を祝う記念行事が21日、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛で開かれ、約160人が障害者を取り巻く社会の現状や平和の大切さに対して理解を深めた

麦の郷は、障害のある人が安心して生活できる環境をつくろうと、田中理事長らが昭和52年に身体と知的の重複障害者を対象とした「たつのこ共同作業所」を和歌山市東長町に開設したのが始まり。苦難を乗り越えながら理解の輪を広げ、施設を増設し、障害者の総合リハビリテーション施設として福祉の向上に貢献を続けている。

記念行事は「感謝を胸につむぎつないでつたえよう」をスローガンに開催。

記念講演では、原水爆禁止運動に長年取り組んでいる、立命館大学の安斎育郎名誉教授が「平和」と題して講演した。安斎さんは、イギリスの経済平和研究所が毎年発表している「世界平和度指数」で平成24年度以降、日本の順位が低下し続けていることを紹介。同指数は戦争や軍事費、犯罪の数や程度、近隣国との関係など24項目のデータを基に示されるもので、安斎さんは平和の実現に向け、現実を直視し、知識と意志を持って社会に働き掛けることが重要と訴えた。

ステージ発表では、麦の郷の各施設が映像で紹介された他、施設の利用者らによる座談会が開かれた。「普段の生活で楽しいことは」「多くの人に伝えたいことは」などの質問に対し、利用者らは「妻と夕食の献立を考えるのが一番の幸せ」「20年近くに及んだ病院での入院生活では、自由がなくしんどかった。今、普通の生活ができることに感謝したい」などと実感を込めて語った。

最後は、麦の郷で働くスタッフらが利用者の意見を参考に作詞作曲した歌「ねがい~キミとボクの歌~」と「あ・り・が・と・う」を全員で合唱した。

実行委員長を務めた麦の郷の武田賢二さんは「大勢の方と40周年を祝うことができてうれしい。人と向き合う仕事は喜びや悲しみを分かち合うことが大事だと改めて感じました」と語り、参加した和歌山市の山崎和友さんは「普通の生活を送れることがどれだけありがたいことか、再認識することができました」と話していた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。