変わり続けた泉茂の画業 近代美で展覧会

筆跡を表現した迫力ある作品も

関西の現代美術界を牽引した泉茂(1922~1995)の創作の軌跡をたどる展覧会「泉茂 ハンサムな絵のつくりかた」が3月26日まで、県立近代美術館(和歌山市吹上)で開かれている。意識的に自らの制作方法を転換しながら、刺激的な表現を展開した泉。同館では「発想豊かで、自身に挑戦するかのように描き続けた人。『変える』ために試みたさまざまな実験が見てとれる作品を、ぜひご覧いただきたい」としている。

銅版や水彩、油彩画などの他、資料を含め、同館所蔵の約190点を展示している。

泉は大正11年、大阪市生まれ。太平洋戦争後、画家として活動を始め、昭和26年に、大阪で前衛画家の瑛九(えいきゅう)らと共に「デモクラート美術家協会」を結成。叙情的で幻想的な作品を発表し、第1回東京国際版画ビエンナーレ展で新人奨励賞を受賞。版画家として評価を高めた。新たな展開を目指し、昭和34年に渡米、38年にはパリへ。昭和43年に帰国後はエアブラシを用い、円や三角形などの基本的な形態をテーマに、さまざまな表現を追求。常に新たな表現に挑み、大阪芸術大学の教授としても、後進の育成に力を注いだ。

初期は叙情的な作風だったが、晩年は文学性を排除した明快な表現を求めるなど、年代によって大きく変遷。「Painting」と題したシリーズは紙に太い筆を走らせ、その筆跡の一部を拡大、その筆跡を緻密に描き直した作品で、同館の奥村泰彦学芸員は「一見抽象絵画のように思えるが、自分のやり方でどのように表現するか、具体的にものを描き写した具象絵画」と話す。

その他、エアブラシで幾何学的な模様を霧状に描いた立体的な作品、雲形定規を使った色彩豊かな晩年の大作も並び、奥村学芸員は「変えることは、今やっていることを捨てることですが、泉には成功に安住しない、かっこ良さがある」と話している。

主な関連事業として25日午後2時から同館で、安來正博氏(国立国際美術館主任研究員)の講演会「泉茂の若き日々デモクラート運動を中心に」、3月25日午後2時から、植野比佐見学芸員による講演会「泉茂ハンサムな絵のつくりかた」がある。

展示は午前9時半から午後5時(入場は4時半)まで。月曜休館。3月20日開館、翌21日休館。問い合わせは同館(℡073・436・8690)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。