「熊楠の家」再演へ 劇団民藝の俳優ら来和

世界一統を見学する俳優ら

ことし生誕150周年を迎える、和歌山市出身の博物学者・南方熊楠(1867―1941)。世界的に知られる偉人の節目は、地元のみならず全国的にも注目されている。小幡欣治作『熊楠の家』が、劇団民藝によって22年ぶりに東京で再演されることになり、演出家や俳優ら7人が、6日から8日にかけて県内の熊楠ゆかりの地を訪ねた。

『熊楠の家』は、田辺市で暮らした熊楠の、神社合祀(ごうし)令反対や昭和天皇へのご進講を中心に、熊楠の家族や同市の人々との交流を描いた物語で、菊田一夫演劇賞特別賞を受賞。米倉斉加年(まさかね)さん主演で平成7年に東京や和歌山など全国各地で上演され、好評を博した。

今回は人気演出家・丹野郁弓さんが演出を手掛け、新たな熊楠像に迫ろうというもの。22年前に長女の文枝を演じた俳優は今回、妻の松枝を演じる。

一行は6日、熊楠が生まれた和歌山市入り。熊楠の研究者で学芸員の武内善信さんに会い、熊楠の生家である酒造会社・世界一統の酒を酌み交わしながら、熊楠談義に花を咲かせたという

7日には湊紺屋町の同社を訪ね、熊楠の弟・常楠の孫に当たる同社監査役の南方信雄さんに話を聞いた。

南方さんは、母親に聞いたエピソードとして、熊楠が資金を援助してもらおうと常楠を訪ねた際、常楠の返答に機嫌を損ね、食事の席で背を向ける熊楠に対し、背後から酒をついだというエピソードを紹介。俳優らは「面白いですね。劇中でも生かせそう」と歓談。その後、酒蔵も見学した。

熊楠を演じる千葉茂則さんは「実際に生誕地を訪れ、熊楠をより身近に感じました。興味を持ったことに突き進んだ人。学者という堅いものでなく、市井にいそうなおじさんを演じられれば」、丹野さんは「破天荒な行動も目立ちますが、彼のそんな人間性が追求して勝ち得た結論が、このお芝居の面白いところ。社会性を持たせつつ、内面的なものに迫る舞台に仕上げたい」と話していた。

一行は熊楠が37年間暮らした田辺市の他、白浜町を訪問し、熊楠の軌跡をたどった。

稽古は4月にスタート。公演は6月15日から26日まで、東京都渋谷区の紀伊國屋サザンシアターで行われる。その後は全国各地で上演。和歌山演劇鑑賞会でも上演を検討しているという。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。