リノベ創業の日本酒バー 水辺座が1周年

市堀川に臨む店舗奥の窓辺で武内さん

城下町の新たな姿を目指し、和歌山市が主催するリノベーションスクール事業の一環で市堀川沿いに創業した日本酒バー「水辺座」(同市元博労町、武内淳代表取締)が今月、1周年を迎えた。県産の日本酒のみを提供する特色ある店づくりに引かれて常連客ができ、県外からの来店者もいることに、武内さんは手応えを感じている。

県職員として建築関係の仕事を手掛けていた武内さんは2年ほど前、同市のまちづくりに関わる中で市堀川沿いの遊休不動産を知り、同所付近に並んでいる老舗の酒蔵と市堀川が、歴史的な情緒を演出していることに着目した。

「心が落ち着く素晴らしい景色」と感じた武内さんは「川に面した空き店舗の奥の壁を取り払い、多くの人にこの風景を楽しんでもらえる店をつくりたい」と願い平成27年11月、リノベーションスクールに参加。不動産オーナーの合意が得られ、事業化が実現することになり、県を退職し自らが事業主となった。

昭和40年代の建物を改築した同店内には、昭和初期の婚礼たんすや日本家屋の欄間(らんま)が壁面やカウンターに効果的に配置されており、「クラフトマンシップ(職人の技能)を大切にしている」との武内さんの考えが表れている。

未経験だった飲食店の運営については「お客さんに育てていただいた」と感謝し、「酒造りの苦労など、つくり手の思いをお客さんに届けられる店にしていきたい。水辺をより楽しく使いこなしたい」と意気込む。

武内さんはさらに未来を見据える。まちの産業群を一つの会社のように見立て、「地域でお金を回すことで、雇用を生み出せるだけの収益を上げたい」と願いを話している。

1周年を迎えた7日、武内さんの支援者や取引先の関係者ら約30人が店に集まり、県産の日本酒、ビール、雑賀崎で取れた魚の料理などを味わいながら、市堀川を眺め、和歌山のさらなる発展を願って祝い合った。

昨年9月に東京で開かれたリノベーションスクールプロフェッショナルコースで武内さんと知り合い、愛知県豊田市から来店した杉本憲彦さん(43)は「武内さんはビジネスプレーヤーの面白さを見せてくれている」。同店に酒を卸している「焼酎屋近藤」の近藤保夫社長(65)は「日本酒はその土地の料理に合うように造られており、和歌山の酒は甘め。故郷の酒にこだわって品ぞろえをしてきたので、武内さんに選んでもらい光栄だ」と話し、武内さんと同店の今後に期待を寄せていた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。