傾かない「まる豊」 名物ラーメン店が移転

今後もラーメン作りに意欲を燃やす豊田さん

店が傾いていることで全国的な話題となり、味と店主の人柄と共に県内外のファンに愛されてきた和歌山市の人気ラーメン店「中華そば まる豊」(豊田二郎店主)が、5月27日で有本の旧店舗での営業を終えた。“傾いた”名物店は幕を下ろしたが、6月1日から同市本町の新店舗で新たなスタートを切る。

同店は昭和57年に豊田さん(79)が創業し、妻の明子さん(81)と共に切り盛りしてきた。物置小屋を改修したカウンター9席の店で、豚骨しょうゆベースのスープにストレート麺の「中華そば」を提供してきた。

紀の川沿いの旧店舗は地盤が緩く、開店から5年を経過したころから傾き始めた。ラーメン鉢を水平にして食べられるように、木製の「平板(たいらいた)」や、鉢の下に敷く「こぼれん棒」を導入した工夫が評判を呼び、テレビなどで何度も取材を受ける人気店となった。

店内の壁には、同店を訪れた有名人のサイン色紙がびっしりと貼り付けられ、人気は衰えることなく多くのファンが通い続けてきたが、建物の老朽化と、立ち退きを求められたことから、35年続いた店舗から移転することを決断した。

旧店舗での最後の営業日、開店前の午後4時ごろから、傾いた名物店の見納めにと、県内外から多くの客が列をつくり、ユニークな老舗ラーメン店との別れを惜しみ、中華そばを味わい、写真を撮るなどした。閉店を聞きつけ、岩出市から両親と共に訪れた小学6年の男子児童は「お店の傾きに酔いそうですが、ラーメンはおいしいです」とにっこり。

豊田さんはこれまでの歩みを振り返り「一昨年、沖縄から20代半ばの男性4人が貯金をはたいて、ラーメンを食べる目的だけで和歌山に来てくれたことが、大変うれしかったです。なれずしをサービスしましたなぁ」と豪快に笑いながら思い出深いエピソードを紹介。まる豊を愛するファンに感謝し、「新しい店でもお客さんが喜んでくれるラーメンを作りたいですね」と意欲を話している。

新店舗でも「平板」と「こぼれん棒」が使えるコーナーを設ける予定で、名物の食べ方はこれからも楽しめる。

新店舗は和歌山市本町9丁目28。営業時間は午前11時~午後10時(火・水曜定休)。問い合わせは「℡073・432・2967」。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。