和の文化伝えたい 木村隆子さん奔走

「着物姿であふれる城下町にしたい」と木村さん

2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、日本の伝統文化発信に関心が高まる中、和歌山市にも着物を軸にした「和の文化」継承やまちおこしに力を入れる女性がいる。今や着物イベントに欠かせない存在となっているのが、飲食店や着物着付け教室などを展開する花グループ代表の木村隆子さん(60)。60歳を節目に「今後は、和の文化に携わる人にスポットを当てる活動に力を注いでいきたい」と一層の情熱を燃やしている。

着物との出合いは、自身の小学校の入学式。母親の藤色の色留袖姿に、子ども心にときめいたのが始まりだったという。十代で結婚し、家庭を持った木村さん。着物に憧れを持ち続ける中、旅先の旅館で出会った美しい女将の着物姿に魅せられ「やっぱり、自分も着物を着る人生を生きたい」と決意したという。
45歳で自身の店を持ってからは、常に着物姿で客を出迎える。夜の街で着物を着る人が増えれば、和歌山にも着物を愛する人が増えるのでは、との思いからだという。
着付けを学び、着たり着せたりすることだけでは飽き足らず、持ち前の知的好奇心と行動力に拍車がかかった。約4年前、60歳までに、和の文化継承に関係する資格を取得しようと決意。東京へ2年間通い「伝統色彩士協会認定講師・和のパーソナル診断士」を取得した。
その後1年間、日本人としてのルーツや心の在り方、他人への思いやりマナーを学び、「江戸しぐさ」の認定普及員に。現在は、エフエム和歌山で情報を発信している。また京都に1年半通い、KICCAきものカラーコーディネーター協会の講師資格を取得するなど、精力的に知識を習得してきた。
昨年1月には「紀州小町の会」を立ち上げ、浴衣姿で伊太祁曽神社で打ち水をした他、浴衣を楽しんでもらうイベントを次々と提案。昨年の夏、20代の若者が中心となった紀州夢祭りで着付師を集め、来場した100人の男女に浴衣を着付けし、会場に和の彩りを添えた。日台文化交流会では着物姿の女性を動員。日本ならではのもてなしは、来場者約400人に好評だった。
さらに「和服姿で議会を」と数年前から市議会に着物の着用を呼び掛け、数人の議員の他、ことしは尾花正啓市長も和服で登壇。さまざまな場面に城下町の風を吹き込み、着実に着物文化の裾野を広げてきた。
「60歳までは、いろんなことを吸収するインプットの時期でした。でも、これからの人生はアウトプットして、人のお役に立つことがしたい」と思いは熱い。
7月から8月にかけては、サッカー・アルテリーヴォ和歌山の試合の浴衣観戦、和歌山青年会議所60周年記念事業の一環で、京橋での浴衣ファッションショー、外国人への浴衣着付けや華道体験などの企画が目白押し。
木村さんは「着物を着るだけで、心の意識が変わりますよ。日本人の自覚や、凛としたたくましさが出るんです」とほほ笑む。日本文化への関心が薄れつつある若い世代にも着物の良さに目を向けてほしいと願い、今以上に着物を学校教育に取り入れるべきとの思いも。「着物を着られる日本人が増えれば、もっと自信や誇りを持って日本の文化を語れるようになるはず」。
「一生勉強・一生青春」を座右の銘にする木村さん。「まだまだいっぱい夢はあります」と話し、これからもさまざまな場所で多くの人と関わりながら、和の文化の継承に走り続ける。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。