和紙など産地化へ 志賀野で過疎集落支援

地区の拠点施設の一つ「志賀野ベース」(写真は県提供)

過疎集落で住民と県が連携し、地域の特性を生かして活性化に取り組む「過疎集落支援総合対策」事業の対象地区に紀美野町の志賀野地区が選ばれ、プロジェクトが動き出している。人口減少や高齢化が進む中、志賀野にしかないものを大切にし、ブランド化を目指す。かつて盛んだったブドウハゼの栽培体制充実や和紙の産地化などに取り組み、過疎地域再生のモデルケースとなれるか注目される。

同事業は平成22年度に創設。これまでに県内15地域が対象に選定されている。

志賀野地区は同町の北西部に位置する中山間地域。平成の市町村合併による同町誕生前は旧野上町に属していた。平成27年の国勢調査によると、人口は418人で、高齢化率は43・8%に上る。主な産業は農業で、米やミカン、柿などを栽培している。

町立志賀野小学校が閉校するなど、地区の過疎化は進み、厳しい環境にあるが、近年は移住者が開いたパン店やカフェが人気を集めるなど、明るい話題も生まれつつある。

同地区では住民組織も活発に活動。住民らは「寄り合い会」で地域の課題や活性化対策を議論してきた。プロジェクトの対象となったことを受け、5月下旬には既存の団体が集まって「志賀野さみどり会」が誕生している。

同会の藤垣成行会長(68)は「近くに有田や九度山といった果物の一大産地があり、地元にしかないもので勝負しなければ厳しいという声があった」と話す。調べた結果、昭和30年代まで同地区で盛んに栽培されていたブドウハゼに注目。その実から抽出される櫨蝋(はぜろう)はススが出にくく、和ろうそくや化粧品の原料として人気があるが、現在は生産者が地区に1人しかおらず、年齢は80代後半になっている。

県内で唯一、蝋の抽出を行っている吉田製蝋所(海南市)も需要の多さに対応できていないという。実がなるのには数年かかるため、すぐに大きな効果が表れるかは未知数だが、栽培法を学び、産地としての存続、復活を目指す。藤垣会長は「高齢の住民には栽培が盛んだった時期の記憶があり、歴史を絶やしてはいけないという思いがある」と語る。

同地区はまた、和紙の原料となるコウゾやトロロアオイの産地でもある。昨年夏には原料の豊富さに魅力を感じた和紙職人が夫婦で福島県から移住。これまでは原料の産地だったが、完成品を「志賀野和紙」として発信し、ブランド化に取り組む。

事業の対象期間は本年度から平成31年度までの3年間。

藤垣会長は「これまではブドウハゼや和紙など、身近なものを地域の宝としてブランド化する発想が乏しかった。地道な取り組みを通じ、地域を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。

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