障害者なんでもADR 弁護士会が初設置

申し立て第1号について説明する伊藤弁護士㊧と土橋弁護士

和歌山弁護士会は(畑純一会長)は、障害のある人がADR(裁判外紛争解決手続き)を気軽に利用できるよう「障害者なんでもADR」を設置した。9日に和歌山市四番丁の和歌山弁護士会館で記者会見を開き、発表した。同会によると、障害者専用のADR体制の整備は都道府県の弁護士会で初めてという。畑会長は「障害のある人もない人も等しく参加できる社会づくりが大切。和歌山から発信できるのは光栄だ」と話し、制度の利用促進へ意気込みを示した。

導入は1日付。ADRは紛争当事者が弁護士を交えて互いに話し合い、和解や仲裁などで解決する制度。通常の裁判に比べて解決までにかかる時間が短く、費用も安価な点が特徴だ。同会は平成25年に紛争解決支援センターを設置し、ADRを実施。昨年4月に障害者差別解消法が施行され、障害のある人に対して社会が合理的配慮を行うことが義務付けられたことを受け、専用ADRを導入した。

同会は多くの会員弁護士が代理人や和解あっせん人として相談に対応できるよう、同法についての研修を実施する他、県社会福祉士会と協力し、ケースによっては社会福祉士も代理人や和解あっせん人として手続きに参加できるようにする。弁護士による出張ADRも行う。

9日の会見には畑会長の他、長岡健太郎副会長や紛争解決センター運営委員会の内川真由美委員長が出席。導入に尽力した長岡副会長は「障害のある人からの相談は裁判ではなく、話し合いでの解決に向いている。良い案配での解決をお手伝いできれば」と意気込みを示した。

利用を希望する場合は、同会の「高齢者・障がい者あんしん電話相談」(℡073・425・4165)に電話する。3日以内に担当弁護士から折り返し電話がある。

同会はまた、同ADRの申し立て第1号となった事案を発表した。申し立て人の代理人を務める伊藤あすみ、土橋弘幸両弁護士によると、申し立て人は50代の女性。病気により左足切断の手術を受け、手動車いすを使用しており、身体障害者向けの市営住宅に住んでいるが、トイレと風呂場が一体となった構造のため、転倒の危険があるという。女性は市に対して改修を求めてきたが、市は予算の制約を理由に応じず、女性は生活保護を受けているため、改修費が出せない状況という。

伊藤弁護士は障害者差別解消法で障害者に対する合理的配慮の提供が義務付けられていることを挙げ、障害の特性に合ったトイレや風呂場への改修を求め、同ADRの申し立てに至ったことを説明した

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。