有吉佐和子の邸宅復元へ 和市が調査開始

有吉佐和子

小説『紀ノ川』や『華岡青洲の妻』など紀北を舞台にした作品を多く残した作家、有吉佐和子(1931~84)が暮らした東京都内の邸宅を出身地の和歌山県和歌山市に復元しようと、市が調査に乗り出した。新たな「まち歩きの拠点」として活用したい考えで、平成33年ごろをめどに完成を目指す。市は「和歌山ゆかりの作家であることを知らない方もいる。有吉作品の良さを感じていただけるような施設にしたい」としている。

東京都杉並区にある邸宅は昭和36年に建てられた木造2階建てで、延べ床面積約160平方㍍。現在は誰も住んでおらず老朽化が進んでいる。管理している有吉さんの長女で作家の有吉玉青さんは「いろんな方に自由に使ってほしい」と話しているという。

市によると、復元場所は未定。市内に新しく開館する市民図書館や市民会館、3大学の開学に合わせて、にぎわう市中心部を考えている。今後、邸宅の調査を進めるとともに、復元した場合の活用方法などを具体的に検討する他、有吉作品を紹介するイベントを開催し、復元に向けて機運を盛り上げていきたいという。

尾花正啓市長は「単なる資料館ではなく、作家活動をする在りし日の有吉さんの姿がしのばれるような施設になれば」と話している。

有吉佐和子は昭和6年生まれ。東京などに移り住んだ後、20年に和歌山に疎開し、県立和歌山高等女学校(現桐蔭高校)に通った。明治、大正、昭和を生きた女性たちの三代記『紀ノ川』と、『有田川』『日高川』は「紀州3部作」といわれ、和歌山に着想を得た作品を多く残した。外科医に献身する嫁姑の藤を描いた『華岡青洲の妻』はベストセラーとなり、『複合汚染』『恍惚の人』では社会問題に警鐘を鳴らした。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。

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