ぶらくりの島清金物店閉店へ 創業130年

約50年にわたり店に立ち続けてきた陽子社長㊨、幸一さん夫妻

和歌山市民の生活を長く支えてきたぶらくり丁商店街の老舗、創業130年の㈲島清金物店(島陽子社長)が、来年3月末で閉店する。同商店街の草創期から最盛期、シャッターが下りた店舗も少なくない現在までを見つめ続けてきた店は、6代で幕を下ろす。1月4日から、感謝を込めて全品半額の在庫一掃セールを行う。
同店は明治20年(1887)8月20日、初代・島清兵衛が、鍋・釜や大工道具の店として和歌山県和歌山市橋向丁に創業。大正8年に現在のぶらくり丁内に移転した。昭和20年に店は戦災で焼失し、現在の鉄筋コンクリート3階建ての店舗兼住宅は34年に完成。55年に商店街のアーケード工事に合わせて改装された。
商店街の激動期を見てきた、陽子社長の夫で5代目店主の島幸一さん(72)は、昭和50~60年ごろに奉仕品の割引セールを始めた。当時はディスカウント商戦がまだ珍しく、年に2回の売り出し時期の来店者は一日500人を超え、売り上げは数カ月分にも上ったという。
人気があった理由は、珍しさだけでなく、安価な品物には質を問う姿勢があった当時の消費者に、同店の商品が信頼されていたから。「セールを、良品が安く買えるチャンスと捉えていた」と幸一さんは振り返る。
消費者の価値観が変化し始めたのは56年ごろ。郊外型大型店の出店などにより、大量生産された低価格商品の流通が盛んになり、消費者は安価な商品を求めるようになった。平成初期には「ディスカウントが当たり前となり、イベントなどで客の流れをつくっても、専門店が並ぶ商店街の売り上げにはつながらなくなった」。
同店は、長年の営業により取り扱うアイテムは数え切れないほどで、安価ではないが安心して使用でき、長持ちするメーカーの製品をそろえてきた。
正月が近づく今は季節商品の重箱や土鍋が多く店頭に並ぶ。46年にわたって店に立ち続けてきた陽子社長(68)の脳裏には、アーケードからガスストーブをつり下げ、客が暖をとれるようにしていたことなど、数々の思い出が浮かぶ。
「閉店は申し訳ないとも思っています。最後にもう一度『ぶらくり丁のあのお店!』と思い出していただけたら」と話し、多くの来店を呼び掛けている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。