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和歌山ニュース 医療への応用期待 太洋工業の低反発FPC

医療への応用期待 太洋工業の低反発FPC

公開日 2018.04.30

基板メーカーの太洋工業㈱(和歌山市有本、細江美則社長)は、弾性フィルム上に電子回路を形成した「低反発FPC(フレキシブルプリント配線板)」を開発した。従来品よりさらに柔軟性と伸縮性に優れ、次世代の携帯機器として近年、急速に市場が広がっている医療・健康分野の「ウェアラブル機器」での用途が期待されている。
FPCとは、ベースとなる薄くて軟らかいフィルムに電子回路をのせた基板。回路の特性を維持したまま自在に曲げて使用できることから、電子機器の小型軽量化や薄型化に欠かせない部品となっている。
電子基板事業は同社の6割を占める主力事業。長年、スマートフォンやデジタル一眼レフカメラなどに搭載されるFPCを手掛けてきた技術を生かし、5年ほど前から医療分野に参入した。心拍数などの生体情報を取得するため、体の表面に貼って使う「ウェアラブル機器」に使ってもらおうと、各メーカーの要望を受けながら開発を重ねてきた。
今回の「低反発FPC」は、優れた柔軟性、伸縮性に加え、曲げた時に元に戻ろうとするスプリングバック性の低減にも成功。体の立体部でも動きに合わせて自在に伸び縮みするため動作を妨げず、体にフィットし装着時の違和感が少なくて済む。
同社には、ウェアラブル機器の研究開発に取り組む各メーカーから、試作の依頼や要望が多く寄せられているといい、研究開発部の浅井頼明部長(57)は「基板は表には見えない目立たない部分だが、さまざまな用途で使われている。今回の開発で、お客さまがニーズに合わせて選べる基板のバリエーションが広がった」と話している。