桐製のビアグラス開発 たんす職人の東さん

「桐のビア杯 鳳凰」を手に東さん

和歌山県紀の川市名手市場の桐たんす職人、東福太郎さん(36)が手掛けた日本初の桐製のビール用グラス「桐のビア杯 鳳凰」が購入者から「木のカップの泡はとてもクリーミー」と話題になっている。4月には東京都内の㈱電通本社ビルで展示され、注目を浴びた。東さんは「桐のグラスは軽くて持つと温かみがあり、とても使いやすいと思います」と魅力を話している。
東さんは、明治24年に創業した桐の材木商の5代目で、現在は㈲家具のあづまの代表取締役を務める。京都伝統工芸専門学校で京指物を学んだ後、家業を継いで桐たんす職人となり、経済産業大臣指定伝統的工芸品「紀州箪笥(たんす)」の伝統工芸士に登録されている。材木業も手掛けており、県指定文化財の名手八幡神社の内装工事にも携わった。
2017年度にはトヨタ自動車と同社の高級車ブランド・レクサスの販売会社が主催し、日本各地の優れた職人を認定する「レクサス・ニュー・タクミ・プロジェクト」の県代表となり、同プロジェクトのスーパーバイザーで脚本家の小山薫堂さんから「注目の匠」に選ばれた。
桐のビアグラスは、桐たんすの需要が落ち込む中、長年培った技術を活用し、桐の魅力を多くの人に知ってもらおうと開発。北欧に木のカップでビールを飲む習慣があることを知ったことがきっかけとなった。
ガラスのグラスに比べて軽く、高齢者にも持ちやすい。ビールのうまみを引き出すため、グラスの内側には戦国時代の甲冑づくりにも使われたという乾漆粉による粉体塗装を施し、無数の細かい凹凸を作った。この凹凸により、上質でクリーミーな泡ができるという。グラスは高さ約15㌢。ビールを約200㍉㍑入れることができる。
グラスを手に取った人からは「軽くて手ざわりがとても良い」「持つと温かみを感じる」などの声が届いているという。色抜き漆を用い、桐本来の薄い茶色を生かした「ナチュラル」の他、緑や赤など4種類の色があり、価格はナチュラルが2万円、それ以外が2万3000円(いずれも税別)となっている。現在は東京都内の商業施設「銀座シックス」と紀の川市の家具のあづまショールームで購入できる。
東さんは「桐たんすづくりの技法を次世代に伝えるためにも、どんどんユニークな商品を開発していきたい」と伝統の継承と発展に意気込んでいる。
商品の問い合わせは家具のあづま(℡0736・75・3600)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。