あなたの文字プロジェクト 書家の北原さん

完成した色紙サイズの作品と北原さん

あなた自身を表現する一文字は何ですか? 和歌山県和歌山市の書家・北原美麗(びれい)さん(53)が、企業や店舗、団体など、それぞれが大切にする文字を形にする「あなたの文字プロジェクト」を立ち上げた。書を店頭や社内に飾ることで、和歌山を盛り上げようというユニークな試み。北原さんは「文字には全て意味がある。お店の屋号や企業にまつわる物語を、皆さんと書を通じて共有できればうれしいです」と話している。

北原さんは4歳で書道を始め、半世紀にわたって書に関わってきた。題字や商品ラベルなども多く手掛け、コンペで入賞した書体「錦麗行書」が製品化されるなど、文字を通じて書や和歌山の魅力を広く発信している。

今回は、より地域に根差した活動をと、書を飾ってまちに一体感を生み、文字に込めた思いを共有することでまちの元気につなげようと考えた。企業理念や座右の銘などでなく、あえて印象的でインパクトのある漢字一字にした。
第一弾として、ぶらくり丁商店街協同組合が協力。25店舗に、店主の好きな文字や店を表す一文字を聞き取りした。北原さんの実家がかつて東ぶらくり丁で飲食店を営んでいたこともあり、思い入れも強い場所という。
服地店の「彩」、介護施設の「笑」、魚屋の「鮮」など、さまざまな要望が寄せられた。北原さんは字に込めた店主の思いを聞き、店の雰囲気などから構想を練り、2日間で一気に色紙に書き上げた。
完成した文字は墨色や字体、紙の雰囲気も額もさまざま。例えば、老舗パン屋の「懐」には素朴で温かい雰囲気を表し、保護ネコカフェの「猫」は、まるでネコが背伸びをするような文字と波打つような額で愛らしさを表現するなど、楽しい作品に仕上がった。
北原さんは「県外から来られた方が『和歌山のどこへ行っても、漢字一文字が飾っているのはなぜ?』と思うぐらいになればすてき。紀州墨など、書と結び付きが深い和歌山の取り組みとして、県外にも発信したい」と話す。
また「本来、その人自身が書くことに意味があり、そこに手文字の良さがあると思うんです」と北原さん。パソコンの普及で文字を書く機会が減る中、手書き文字の魅力を伝えたい思いもあり「学校などで、子どもたちが自分を表す文字を書くことにつながればうれしいですね」と願っている。
紙に限らず、アクリルや木材など、その店らしい素材で表現することも可能。今後は書を通じたコラボレーションにも期待を寄せ、「活動は始まったばかり。書くのは私だけでなくてもいいと思っています。企業や書家の方々で、協力や賛同いただければうれしいです」と話している。問い合わせはメールで北原さん(info@kitahara-birei.com)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。