松下会館のモダニズム 渡辺節を学ぶ見学会

松下会館の内装

松下会館(和歌山県和歌山市西高松)の文化的価値を知ってもらおうと、和歌山ヘリテージネットワーク協議会と県建築士会和歌山市支部事業委員会による見学会と講演会が1日に開かれ、約100人がモダニズム建築の魅力にふれた。

松下会館は大阪市の重要文化財「綿業会館」などを手掛けた建築家・渡辺節(1884〜1967)の晩年の作品で、和歌山市出身のパナソニック創業者・松下幸之助の寄付により、61年に学生会館として建設された。現在は放送大学和歌山学習センターが入っている。

講師は近代建築を研究する京都工芸繊維大学の笠原一人助教が務め、松下会館の特徴や渡辺の建築について話した。

渡辺は日本初の冷房や温度を調節するサーモスタットを導入したり、テラコッタやタイルを使って工期を早めたり、新しいものを導入する合理主義的な建築家だったと説明。近代建築の巨匠ル・コルビュジエと同時代に活躍したが、工業製品を使い機能性や合理性を重視したモダニズム建築とは異なり、建物に合わせて様式を変え、細やかな装飾を施した。

会場では京都停車場(現存せず)や日本興業銀行本店(同)など渡辺の作品の写真を示しながら、モダニズムに様式建築を取り入れた渡辺のデザインの特徴を紹介した。

松下会館は、面格子を中心にタイルを並べた線対称の外観となっており、階段側面の細かい飾り、凝ったデザインを施しているが、鉄筋コンクリート造りの柱を強調し、面格子に穴開きブロックを用いたモダニズム建築の要素も大きい。

笠原助教は「合理性の追求とデザインの美しさの一貫した姿勢の中に、渡辺節の戦後の特徴が存分に出ている建物といえる」と話した。

講演後は松下会館の改修保全などについて意見交換が行われた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。

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