フルーツ王国も倒木や落果が多発 台風21号

強風で幹から折れ、無惨な姿になった桃の木(紀の川市桃山町)

4日の台風21号による和歌山県内の被害は、まだ詳細が判明していないが、収穫の秋を目前に農作物への影響の大きさが心配されている。県が5日時点でまとめた農林水産業の被害額は21億7788万円で、うち農作物等が20億6885万円を占めている。

「フルーツ王国」を掲げ、県内有数の農業地帯である紀の川市は、特に被害が大きい地域の一つ。果樹では、出荷シーズンを終えて間もない桃などの木が倒れたり枝が折れたりし、被害額は1億5628万円。

桃山町では、無惨な姿になった桃の木の他、破れ、吹き飛ばされた防風ネットなどが目につく。桃農家の中前乃泰さん(66)は「折れていない木がないのではと思うくらい折れてしまった。これまでの農家生活でこんなに大きな被害を受けるのは初めて」と話し、「来年の収穫は例年の半分くらいになるかもしれない。これだけやられると作る意欲がなくなりかねない」と被害の深刻さに肩を落としていた。

豊田のJA紀の里ファーマーズマーケット「めっけもん広場」では、8月末から早生柿の販売がスタート。6日時点では価格や品質に例年と違いは見られないが、強風で柿の実が落ちたとの報告は数多く寄せられており、同店の下田良次さん(29)は「台風に備えて早めに収穫していたケースもあったが、冬にかけて出荷に影響が出るのではないか」と話す。県内の柿の被害は、平核無(ひらたねなし)が6億8501万円、富有が1億893万円。

ビニールハウス全体が強風で吹き飛ばされ、破れた天井からハウスに雨水が大量に流れ込むなどの被害も出ている。8月の台風20号で破損した施設を復旧できないまま、今回の21号で被害がさらに広がった例もある。

ハウスの修繕作業などに追われる農家が多く、ピーマンやトマト、ナス、キュウリなどの出荷量はまだ少ない。下田さんは「5日は定休日明けで普段なら農家がたくさん野菜を持ってきてくれるが、今回はかなり少なかった」と説明する。

さらに、6日未明に北海道で発生した最大震度7の地震の影響も心配されるという。例年は1袋(約200㌘)100円程度のホウレンソウは、今夏の猛暑で出荷が減り、すでに価格が高騰しており、300円前後となっている。同店のホウレンソウは北海道産や岐阜県産が多いため、さらに流通量が減少すれば、価格が上がり、消費者の財布を直撃することが予想される。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。