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和歌山ニュース ミカン発祥地で挙式 橘本地区の歴史発信

ミカン発祥地で挙式 橘本地区の歴史発信

公開日 2018.10.10

ミカン発祥の地と伝えられる和歌山県海南市下津町橘本地区で7日、地域の伝承や歴史の発信を兼ねた「加茂谷たちばなの結婚式」が行われ、同市の洋菓子店主、土井陽平さん(35)と大阪府大東市の新井いずみさん(32)が、伝承にゆかりが深い橘本神社(前山和範宮司)と岩屋山福勝寺(浦弘晴住職)を巡って挙式し、時代装束で近隣の熊野古道を練り歩いた。

1日から1カ月にわたり開かれている「かいなんお菓子まつり」の一環。

約2000年前、垂仁天皇の命を受けた田道間守(たぢまもり)は、ミカン栽培の元となる橘の木を中国から初めて持ち帰り、初めて植えた場所が同地区の「六本樹の丘」と伝えられる。橘本神社は田道間守をまつり、ミカンと菓子の神様として全国に知られている。福勝寺は弘法大師空海が開山し、橘との関わりが多く伝わる他、本尊の千手千眼観世音菩薩は空海が唐へ渡る前に旅の安全を祈願した「旅立の観音」といわれる。

二つの寺社を「起源」にまつわる歴史的遺産と捉え、地域活性化と若者支援に生かそうと、地域住民の中西恒雄さんが「紀州加茂谷たちばなの会」を立ち上げ、2年ほど前から結婚式事業の企画を進めてきた。

結婚式では、陽平さんは同神社の神事用の装束、いずみさんは熊野参詣をテーマにデザインされた衣装に身を包み、緊張した面持ちで儀式に臨んだ。

2人はまず、同寺の千手千眼観世音菩薩像の前に進み、浦住職の案内で父母や衆生、三宝への恩を大切にすることを誓い経を唱え、旅立ちの加護を受けた。橘神社までは徒歩で移動し、かいなんお菓子まつりの実行委員らが行列を作り後に続いた。

熊野古道を歩きながら門出の喜びをかみしめ、沿道の住民から祝福を受けて橘神社に到着。菓子の街・海南をPRするイメージキャラクター「海ニャン」が出迎え、前山宮司が神事を執り行い、誓いの指輪を交換した。

結婚事業第1号となった土井さん夫妻は「多くの人が集まり、写真もたくさん撮ってくれてうれしいです。にぎやかな家庭を築きたいです」と笑顔。中西さんは「二つの寺社が連携して事業を行い、挙式だけでなく銀婚式など節目を迎える人に活用してもらいたい。継続した取り組みを目指します」と話していた。