将軍就任300年で脚光 銘菓吉宗ポテト

地元愛を込め製造する辻岡成晃店長

ことしは、紀州で生まれ育った八代将軍・徳川吉宗が将軍に就任して300年という節目の年。新たな吉宗グッズの登場も予感される中、和歌山市祢宜の洋菓子店マニエールには「吉宗ポテト」なる銘菓がある。葵の御紋をあしらった、少し恐れ多い(!?)洋菓子だが、素朴な味わいのスイートポテトで、20年以上にわたって愛され続けている。

同店は昭和39年創業、50年以上地域に親しまれる洋菓子の名店。吉宗ポテトの誕生は今から23年ほど前のこと。きっかけは、同店の辻岡秀浩社長(75)が歴史好きで、地元にある歴史研究会のメンバーが同店の常連客だったことから、和歌山の歴史に基づいた、おいしい洋菓子を作りたいと思ったことだった。

吉宗は江戸時代の中期、蘭学者の青木昆陽の勧めで栄養価の高い甘藷(サツマイモ)を栽培。飢饉(ききん)から人々を救ったことにちなみ、その功績を広く伝えようと、サツマイモを使った「吉宗ポテト」を考えた。

イモは、さまざまに品種改良されたサツマイモの基になっている、今では希少となった品種「高系13号」を使用。甘みがあり、繊維質が豊富なのが特徴。糖分は糖度が低く上質なラクチトールを使っており、甘さ控え目で体に優しいのもうれしい。

できる限り、ふかしたイモ本来のふんわり・ホクホクとした触感を楽しんでもらえることを一番に開発。卵やバターに空気を含ませて攪拌(かくはん)していくが、混ざり具合の見極めが難しく、試行錯誤を重ねてたどり着いたという。

平成6年には第22回全国菓子大博覧会大臣栄誉賞を受賞。その後に放送されたNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」のヒットも重なり、子どもから高齢者まで広く人気を集め、一日で約300個、毎日焼き続けたこともあったという。

帰省土産や県外の人への贈り物などに喜ばれ、中には仕事先への手土産として買い求め「商談先で話題にもできる」という人もいる。

合わせて、店頭に掲げられた吉宗ポテトの広告写真にも注目。はかま姿のりりしい殿様に、お客さんからは「どこの俳優さん?」と聞かれるほど。実は、この人物こそが、辻岡社長その人。

写真は京都の東映太秦映画村で撮影。背景にそびえる江戸城の絵に「和歌山城に変えてもらえないか」とリクエストしたというエピソードもある。

現在は辻岡社長の弟、辻岡成晃さん(63)が店長を務め「和歌山に吉宗という偉大な人物がいたことを知ってもらいたい。将軍就任300周年というせっかくの機会、地元から大いに盛り上げていきたいですね」と話している。

記事元:わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。