最大多数に最良治療を 災害医療従事者研修

SOSシートを説明する布施准教授

災害発生時の医療について学ぶ「平成28年度県災害医療従事者研修会」が1日、和歌山市紀三井寺の県立医科大学で開かれ、日本医科大学大学院の布施明准教授が「発災時の情報伝達はいかにあるべきか」と題して講演した他、災害の発生を想定した机上シミュレーション訓練が行われ、約170人が参加した。

県と同大が主催し、今回で15回目。

布施准教授は災害医療の特徴として、通常時の救急医療に比べ人員や医薬品などの医療資源が非常に少ない点を指摘し、「多くの負傷者に対し最大多数かつ最良の治療を提供する必要がある」と強調。災害医療に従事する際の注意点として、医療者自身や現場の安全確保などを挙げた。

平成13年にアメリカで発生した世界同時多発テロでは、危険が残る状況で消防隊が救助に入り、多くの犠牲者が出たという。布施准教授は災害時における情報伝達の重要性を強調し、成功例として昨年11月にパリで発生した劇場襲撃テロでは、より高度な医療機関へ患者を移す2次搬送が1件もなかった事実を紹介した。

県の災害医療体制については、基幹病院の多くが県北部や海岸付近に立地している点を不安材料としたが、救急医療情報システム「青洲リンク」については先進的で高く評価できるとした。

被災地では、建物の屋上や学校のグラウンドでメッセージを残し、救助を訴える例が多いことから、布施准教授はPALSと呼ばれる特殊空撮システムや災害時施設状況伝達横断幕「SOSシート」を紹介し、「特にSOSシートは取り扱いが簡単で、誰でも使える。ぜひ知ってほしい」と呼び掛けた。

講演終了後、二つのグループに分かれて避難所の情報収集や救護所での災害診療記録の記入について、シミュレーション訓練が行われた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。

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