妖しい世界へドウゾ 亀井さん和伽人形展

物語を感じさせる人形と亀井さん

思わずゾクッとするような妖艶なまなざし、真っすぐな視線で鼻から出た血をぬぐう女武将――。「和伽(おとぎ)人形」と名付けた独自の表現で見る人に鮮烈な印象を残しているのは、岩出市の人形作家・亀井潤さん(47)。16日から28日まで、和歌山市満屋のギャラリー&カフェAQUA(アクア)で個展を開く。亀井さんは「皆さんの想像を超える人形が並ぶはず。『見たことがないものを見たい』好奇心旺盛な方、ぜひお待ちしています」と話している。

小さい頃からプラモデルが好きだった亀井さん。組み立て式のフィギュアなどに没頭するうち、最初から自分で作ってみたいと感じるように。歴史好きだったこともあり、何とか人形と組み合わせられないかと思い立ち、30代半ば頃から、本格的に和風の人形の創作を始めた。

室町時代から江戸時代にかけて作られた短編物語集『御伽草子(おとぎぞうし)』に発想を得て、「どこか不思議で、物語を感じさせるような人形を」と和伽人形とネーミング。地元では、現代アートの祭典「ワカヤマサローネ」や、くどやま芸術祭に参加。大阪や京都、東京で個展やグループ展を開いてきた。

亀井さんが生み出す人形のほとんどは女性。特にモデルはおらず、思い描いた顔や表情、ポーズを形にしている。追求するのは美しさの中にある妖しさ。特に肌の色にこだわり、赤や青、いくつも色を重ねて人の肌に近い質感を出していく。着物もミシンを走らせて手作り。見る人の想像力をかき立て、非日常的な世界へと誘う。

自身でもストーリーを設定しているが、その物語を相手に説明することはない。それは、見た人それぞれが想像し、物語を自由に楽しんでもらいたいとの思いから。「僕が思うものと違っていいんです」とにっこり。
亀井さんの作品は、意外にも、男性より女性ファンが多いという。

夢は、海外でも作品を見てもらう機会を増やすこと。これまでフランスやベルギー、イタリアの展示会で作品を発表してきたが、和伽人形の魅力を広く発信したいという思いは強い。亀井さんは「きれい、かわいいという人形はあっても、妖しさのあるものはない。日本の伝統的な人形だけでなく、こういう表現があるのを世界に知らしめたい」と意欲的に話している。

亀井さんの作品展「和伽人形展~ミタコトモナイモノミタイデスカ~」では近作を含め十数点が並ぶ。22日休み。午前10時から午後5時まで。問い合わせは同ギャラリー(℡073・463・4640)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。