顔だけの絵画展 31日まで佐藤すきまさん

隙間なく並んだ人物画の前で佐藤さん

壁一面に並ぶのは、顔、顔、顔、そして顔。会場となった工場内に飾られた、その数は全部で約500枚。さまざまな人物画だけを集めた絵画展「about 500 FACES SPARKLING」が31日まで、和歌山市北島の飲料水の元製造工場(田中鉱泉所跡)で開かれている。作者は「人の顔しか描かない」という、同市の佐藤すきまさん(24)。エネルギーに満ちた作品を前に「とにかく多くの人に見てほしい。『生きてる力』を感じてもらえたら」と話している。

北海道苫小牧市生まれ。弘前大学を卒業し、2年前の4月、就職を機に和歌山へ。大学時代から絵を描くのは好きだったが、和歌山へ来て一層熱が入った。それまでなかった色彩が加わったのも、その時からという。

これまで青森や京都で個展を開催。今回、和歌山に来て知り合った、カフェやバーなどを展開する「源じろう」こと半田雅義さんの厚意で、資材置き場になっていた工場を借り、和歌山での初個展が決まった。今回並ぶ作品の全てが、和歌山に来て生まれたもので、趣のある工場の空間全体を使って展示されている。

水彩を油彩のように厚く塗り重ねて表現。絵日記のように毎日、感情や思いを吐き出すように、家族や友人、会いたい人など、人の顔を描き続けてきた。最近では、自画像を多く描くように。「描く人物画が自分に近づいてきたのは、現実と向き合うようになってきたからかも」と分析する。

描かれる人の顔は、力強いまなざしに、何かを語りたそうな口元――。自画像は特に、どこか不気味な雰囲気を漂わせる。「大切にしているのは、切実さ。何かに立ち向かい懸命に生きる人の顔を描きたい」と佐藤さん。

どれほど多く描いても、完成しない自画像。それはまるで、自分探しのようでもあるという。

「誰もが本当の顔で生きているとは思わない。だから描き続けた先に、自分の顔が見つからないでいい。そうしてこの先も、どんどん絵が増えていけばいいなと思うんです」。

午前10時から午後5時30分まで。場所は河西橋のたもと。土日・祝日は佐藤さんが在廊する。問い合わせはマキタ商店(※取り次ぎ、弘前市、℡0172・35・2985)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。

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