道と信仰の歴史たどる 風土記の丘で特別展

三十三度行者の御背板

和歌山県和歌山市岩橋の県立紀伊風土記の丘で11月26日まで、特別展「道が織りなす旅と文化」が開かれている。昨年、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に鬪雞神社や潮見峠越など22カ所が追加登録されたことを記念するもので、高野・熊野参詣や開創1300年が近づく西国三十三所巡礼など、県内の信仰の道にまつわる文物を見ることができる。
熊野から全国に教えを伝えた修験者の広がり、西国三十三所巡礼の参詣道、信仰による参拝から観光への変化などについて、全国から約400点の展示物を集め、詳細な解説とともに展示している。

熊野信仰については、愛知県の東栄町、豊根村、設楽町で行われる「花祭」と高知県旧物部村(現香美市)に残る民間信仰「いざなぎ流」の関係史料などを紹介。全国に広まった熊野信仰は地域の信仰と融合して新しい信仰となり、熊野では見られなくなった風習が各地に伝わっている。展示物では、花祭でかぶる鬼の面や熊野の文字が並ぶ祭文の他、いざなぎ流で行われる、新宮と本宮の湯を使った占いや湯立て神事の資料、道具などが見られる。

西国三十三所巡礼については、巡礼者が持ち歩いた道具や関連史料を紹介。現在は見られなくなった、西国巡礼を11年かけて33回行う「三十三度行者」が背負っていた小さな観音像や経典などを入れた御背板(おせた)、巡礼者が朱印を押すための笈摺(おいずる)と呼ばれる袖のない衣、旅が庶民に浸透してきた江戸時代に書かれたガイド本「西国巡礼記」など当時の旅人の足跡が分かる資料が並んでいる。
「信仰と観光と」のゾーンでは、江戸時代に観光地として人気を集め始めた寺社が参拝者を増やすために公開した宝物を展示し、道成寺にまつわる物では、清姫の角、清姫が編んだとされる打敷などが並ぶ。他にも、娯楽として人気を集めた妖怪の絵巻物「付喪神絵詞」や「稲亭物怪録」なども公開しており、現代につながる観光的な参拝スタイルの始まりを紹介している。
開会式には主催者の仁坂吉伸知事や中村浩道館長、来賓の県議らが出席。地元の市立和佐小学校の6年生も招待された。仁坂知事は「熊野古道や西国巡礼、たくさんの人が通る道をいろいろな側面から見た、楽しみな展示になっている」とあいさつ。出席者はテープカットで開幕を祝った。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。

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