ADHD合併自閉症のメカニズム 医大が解明

研究成果を説明する森川教授

注意欠如・多動性障害(ADHD)が合併した自閉症について、原因が脳の神経細胞「シナプス」内の遺伝子異常にある可能性が高いことが、和歌山県立医科大学医学部解剖学第2講座の森川吉博教授らの研究で明らかになった。発症メカニズムの一つが解明されたことで、治療法の開発につながることが期待されている。
1月31日同大で記者発表した森川教授によると、自閉症は発達障害の一つで、同じ行動を繰り返すことやこだわりの強さ、社会的コミュニケーション障害などの症状が見られる。約50人に1人の割合で発症するといわれるが、原因や病態は不明で、根本的な薬物治療法は開発されていないという。ADHDも発達障害の一つで、集中が続かない、黙っていられないといった不注意や多動性、衝動性などが主な症状。自閉症患者の4~8割がADHDを合併しているといわれ、症状が重篤化し、治療も難しくなるという。
森川教授らは2010年からマウスを使って実験を行い、脳の中で神経細胞同士が情報をやりとりする場所「シナプス」に注目。シナプスの中にあり、自閉症のリスク遺伝子であることが報告されている「キーレル3」を欠損させたマウスをつくり、通常のマウスと比較した。キーレル3欠損マウスは人間の声に相当する超音波の発声回数が多く、立ち上がったり同じ行動を繰り返す頻度が高いなど、ADHDを合併した自閉症に類似する行動が見られ、発症の新しいメカニズムが明らかになったという。
森川教授は「自閉症は特に珍しい病気ではない。今回の研究で大きな原因の一つが分かった。病態に基づいた治療法の開発につなげたい」と話した。
また、県立医大はこの日、「高齢者の生活の質を向上させるための新しいアシスト技術の開発に関する研究」について、昨年12月に世界保健機関(WHO)から正式に開始の承認を受けたことを報告した。
リハビリテーション医学講座の田島文博教授によると、入院患者の足に筋電図を着け、その信号をホストコンピューターに送信することで毎日の活動量を記録するシステムの開発を目指す。
日常の活動量低下は体力を低下させ、起立、歩行などの生活動作を困難にすることから、高齢者の日常の活動量を評価することが重要であり、同システムの開発により、足の筋力を維持するために必要な活動量などを明らかにすることが期待できるという。
田島教授は「高齢化が進む中、身体の活動を活発化させることは医療費の伸びを抑えることにもつながる」と話し、取り組みの意義を強調した。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。