家裁妙寺出張所の手続き拡大訴え 弁護士ら

受けられる手続きに制限が多い和歌山家裁妙寺出張所

認知症などで判断能力が十分でない人の財産を守る成年後見制度の利用手続きを巡り、伊都・橋本地域の弁護士や福祉関係者らが、和歌山県紀の川市の粉河・那賀地区を含めて所管する和歌山家庭裁判所妙寺出張所(かつらぎ町)で受けられる手続きを増やすよう家裁に改善を求めている。県内で手続きの多くを最寄りの家裁で受けられないのは同地域だけで、弁護士らは和歌山市の家裁本庁まで行かなければならないのは、高齢者の負担を重くしていると指摘。家裁は早ければ今月中にも回答を示すと見られる。
「足腰が弱い高齢者を車に乗せ、片道1時間半をかけて家裁に向かうのがいかに大変か、裁判所は理解してほしい」と橋本市の堀江佳史弁護士(42)は話す。
成年後見制度は、判断能力が十分でない人に代わり、子や配偶者などの親族や弁護士、司法書士などの専門職が後見人となって本人の財産管理などを行う制度。判断能力の程度に応じて後見、保佐、補助の三つに分かれている。急速な高齢化による需要の高まりを見据え、2016年5月には「成年後見制度利用促進法」が施行された。
制度を利用するには家族などが家裁に審判を申し立て、家裁が面談を通じて判断能力の程度や家族関係などを調査し、最も適任と考える人を後見人に選任する。最高裁の統計によると、県内では1年間に250件程度の申し立てがある。
制度を利用すると、本人が亡くなるなどの事情がない限り途中でやめられないことから、制度を正しく理解した上で利用してもらうため、家裁は申し立ての前に家裁の窓口で制度の仕組みや手続きの注意点などについて説明を受けるよう求めている。説明や面談を受けられるのは本庁の他、田辺、新宮、御坊の各支部で、妙寺出張所では原則として行っていない。
橋本市地域包括支援センターに勤務する社会福祉士の下条恵己さん(51)は数年前、認知症を患い頼れる親族もいない80代男性の保佐申し立てに伴う手続きのため、男性を車に乗せ本庁へ通った。センターを訪れる市民から「せっかく近くに裁判所があるのにどうしてできないのか」という声が寄せられていると話す。
堀江弁護士は、県内の弁護士や社会福祉士、家裁書記官などが成年後見制度の普及促進をテーマに昨秋から開いている会議で、妙寺出張所でも成年後見制度の手続きの説明を受けられるよう家裁に要請。家裁は早ければ今月下旬に開かれる次回の会議で回答する考えを示したという。
出張所で手続きの説明を受けられる地域もある。新潟県村上市の佐藤克哉弁護士(42)は、最寄りの新潟家裁村上出張所で「市民がよく成年後見の説明を受けている」と話す。裁判所には判断能力が低下した本人と親族、福祉関係者ら3~4人で出向くケースが多いと説明し、「最寄りの出張所で手続きができるかどうかで、関係者の日程調整のしやすさが全く変わってくる」と強調する。
堀江弁護士は「利用促進法の施行をきっかけに裁判所も成年後見制度の広報に積極的になってきた。今がチャンス」と意気込み、和歌山家裁が妙寺出張所の運用改善の判断を示すことに期待を寄せている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。

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