高校生が社会の課題を掘り下げ、それを解決するためのビジネスプランを考える「GTE2016」が2日から4日にかけて、和歌山市で初めて開かれた。国内外から集まった22人がチームに分かれて活発に議論。最終日には学びの成果を英語で発表した。高校生によるビジネスプランコンテストは各地で開かれているが、国を越えて参加し、発表が全て英語で行われるのは世界的にも極めて珍しいという。
将来を担う、国際感覚を身に付けた起業家を育成しようと、一般社団法人カピオンエデュケーションズ(同市秋月、曽我弘理事長)が主催。経済産業省や文部科学省、県などが後援した。
GTEは「Global=国際」「Technology=科学技術」「Entrepreneur=起業」の頭文字。今回の企画は、日本にあまり根付いていない、これら基本の枠組みを若者に習得してもらうことを目指している。米国やベトナム、パキスタンから生徒が集まり、県内からは10人が参加した。
2泊3日の合宿形式で行われ、1日目と2日目は、同市勤労者総合センターで、米シリコンバレーで実際に現地の高校生が学ぶプログラムを受講。シリコンバレーの起業教育専任・ジャストン・グラス氏による講義や、経済産業省所管独立行政法人「NEDO」担当者の講義などもあった。マーケティングやプレゼンテーション技術、ビジネス戦略など、基礎から実践までを学習。5つのグループに分かれてビジネスプランの作成に取り組み、連日夜遅くまで白熱した議論が続いた。
生徒から上がったのは、福祉や防災、自然環境などの視点を取り入れたプラン。最終日のコンテストでは、ペットが迷子にならないようGPS機能などを備えた首輪、冷蔵庫の廃棄品を減らすための携帯アプリの活用、耳の不自由な人のために意思疎通を図る小型ロボットの提案など、さまざまな課題に対する解決策、機能や製品のマーケティング方法を発表した。
慶風高校2年生の菅智哉(ともちか)さん(17)は「文化が違う同世代との交流は刺激があり、いろんな視点があることを知って視野も広がった。今後、恐らくこんな体験はできないと思うほど特別な3日間でした。可能性を探りながら、自分の将来をじっくり考えたい」と話していた。
主催したカピオンエデュケーションズの曽我理事長(81)は「国を越えて語り合った体験は、確実に生徒たちの将来へのプラスになるはず。自分のアイデアに固執し過ぎない、高校生の柔軟さも感じました。世界で戦える起業家を育てるため、継続して開催できれば」と話していた。