和歌山市在住の作家「もやしいため」さんのライトノベル『神様のおねがい』が、マッグガーデンノベルズから昨年暮れに発刊された。もやしいためさんにとって作品の書籍化は初で、昨年6月創刊の同レーベルにとっても和歌山の作家による作品は初めて。
もやしいためさんは普段は会社員として勤務しており、同作品は小説投稿サイト「小説家になろう」で3年ほど前から書き始めた。ネット掲示板で紹介されたことで人気を集め、書籍化が実現。同レーベルの10冊目の作品となった。
同書は、主人公の御巫理熾(ミカナギ・リオ)が神に「手詰まりの世界を救ってほしい」と頼まれ、異世界「スフィア」で試行錯誤しながら成長するストーリー。趣味として、自分が面白いと思える作品を書いていたというもやしいためさんは、書籍化を打診された時は「詐欺か」と信じられなかったという。
主人公の理熾はレベル1、武器もスキルもほとんど持たない「世界最弱の13歳」としてスフィアに転生する。同サイトの投稿作品では、主人公が最初から強い力を持ち、敵をなぎ倒していく物語が多い中、主人公が苦労する話を書いてみようと思ったのがきっかけ。
ウェブ版のストーリーはそのままだが、改稿を重ねているので、書籍版とウェブ版では文章が大きく異なる。また、ウェブ版では物語の展開を早めていたため、書籍化にあたり一部書き下ろした部分もある。
スフィアはゴブリンなどの魔物が出没したり、住民は魔法を使えたりと、ファンタジー要素の多いゲームのような世界。同サイトの人気作品を参考に、分かりやすいものにしようと作った世界観だったが、伏線や設定も増え、ストーリーの構成に欠かせない世界になった。
もやしいためさんは「理熾は発想の転換で強くなっていく。日常生活ではできない方向のことをしている主人公だと思う。読者に『なるほど!』と思ってもらえればうれしいので、どうぞよろしくお願いします」と笑顔で話す。
同書はB6判274㌻。イラストは伊吹のつさん。定価1200円(税別)。同時発刊の『異世界に転生したら全裸にされた』(狐谷まどか著)とともに主要書店などで販売中。同サイトでも引き続き連載している(http://ncode.syosetu.com/n5810by/)。
もやしいためさんの活動はツイッター(@okamoyashi)から。