アルテリーヴォ和歌山を退団して約1年4カ月。サッカー選手として一線を退いた西山佳孝さん(30)は現在、生活雑貨や日用品を扱う㈱サンコー(海南市大野中)の営業職に活躍の場を見つけている。目標に向かって走り続ける姿勢は今もなお変わらず、その道にまい進している。
急いで階段を駆け下りる足音がロビーに響き、スーツに身を包んだ西山さんが姿を見せた。ユニホームでピッチを縦横無尽に走っていた姿とは印象がまったく異なる。爽やかな表情であいさつを交わすさまは、まさに「営業マン」といった印象を受ける。
海南市の出身。地元の中学、高校を卒業後、県外の大学に進学。アルテリーヴォの知人に誘われ、23歳でチームに入団した。MFならどのポジションもこなすユーティリティプレーヤー。持ち前のテクニックで相手守備陣を翻弄(ほんろう)し、チームの関西リーグ2部、1部の昇格に貢献した。
紀の国わかやま国体の強化選手にも指定され、活躍が期待されたが、度重なるけがにより大会の直前でメンバーから漏れた。コンディション面で思うようなプレーができない日々が続き、国体終了後にチームを退団した。
同社には昨年4月に入社。半年間の研修を経て、8月に営業部に配属された。角谷太基社長は「人一倍、苦労を知っているから、常に前向きで根性がある。立派な人材」と働きぶりに太鼓判を押す。
「商品を通して、皆さんに喜んでもらいたい」と、仕事に取り組む西山さん。サッカーで築いた人脈を生かし、今回、アルテリーヴォとのコラボレーション企画を打ち出した。こびりついた泥汚れなどを落とす商品「ちょこっと洗濯」を販売するにあたり、㈱オークワと交渉。選手の写真を採用したポップを使って宣伝する。これまでは、主に少年野球チームで同商品の営業を展開してきたが、今月下旬に開かれるアルテリーヴォ主催の少年サッカー大会で商品の売り込みに挑戦するなど、活動の幅を広げている。
「JFL(日本フットボールリーグ)昇格は目前。自分はチームを離れたが、これからも応援したい」と語る一方で、「周囲の期待に応えられるよう、今の仕事に全力を注ぐ」と力を込める。
アルテリーヴォで味わった「やりきれない気持ち」は、自社の商品を通してスポーツをする子どもや保護者の手助けに変えようと、挑戦を続ける西山さん。「少しでもサッカーに関われたら」。今の道で今度こそ期待に応えるため、きょうもまた目標に向かって走り続ける。
商品などの問い合わせは同社(フリーダイヤル0120・87・1149)。