人生にじむ絵画や書 米寿の北谷さん記念展
和歌山県紀美野町野中の北谷弘(ひろ)さん(88)の米寿を記念した絵画と書の展覧会「宗純(そうじゅん)展」が25日から29日まで、ギャラリー白石(和歌山市湊通丁南)で開かれる。娘たちの勧めと後押しがあって実現した初の個展で、北谷さんは「健康でいろんなことを続けてこられたことに、ありがたい気持ちでいっぱい。親思いの子どもたちのおかげで幸せです」と笑顔で話している。
北谷さんは和歌山文化協会、紀美野町文化協会会員。生け花の未生流師範、茶道の表千家師範。18歳で結婚し、19歳で出産。兼業農業の夫を支え、自身も洋裁や宝飾販売の仕事をしながら、4人の娘を育ててきた。書や茶道、華道に親しみ、水墨画などの絵画教室にも通った。展覧会名には自身の茶名をとった。
書に親しんで約40年、水墨は35年ほど。新構造社和歌山支部に加わり、本部の審査で入選し東京で表彰を受けたこともある。また、近くの高齢者施設ではボランティアで23年にわたって書や華道を指導。約30年前からは小川と志賀野の両地区公民館で茶道教室の講師を務めている。
今展では根来寺の桜や長谷寺の牡丹を題材にした日本画、嵯峨野の竹林を描いた水墨画、書の軸など約30点を展示する。
「私自身、男性的なところもあり、思い切りのいい性格。積極的に、興味を持ったことに挑戦してきました」と北谷さん。三女の平岡昌子さんによると、陽気な人柄で家族の中心的な存在という。商売もうまくいき、順風満帆だったというが、長い人生にはつらい出来事もあった。2008年に四女の佳子さんが突然の病で他界。今展では、悲しみの中、空虚な思いを込めた書「空(くう)」も並ぶ予定。
さまざまな苦境も持ち前のバイタリティーで乗り越え「学びたい」と思ったことに貪欲。これまでに英語を習い、今も中国語教室に通っているといい「勉強するのは、3度の食事より楽しいんです」とほほ笑む。
「絵画はほぼ自己流。プロのように上手に描けたものではありませんが、皆さんに見ていただき、少しでも『楽しいな』と感じてもらえればうれしいです」と話している。
午前10時から午後5時(最終日は3時)まで。