蒔絵のナンバープレート 海南高生がデザイン

完成した蒔絵のナンバープレートを手に美術部の皆さん

漆器の製造販売を行う㈲橋本漆芸(和歌山県海南市岡田、橋本洋二代表取締役)が県立海南高校(同市大野中)の美術部8人とコラボレーションし、「漆器を自分たちの生活に引き戻す」をテーマに約1年かけ、作品作りに挑戦。県を代表する「梅」と「紀州犬」を描いた生徒の絵を基に、地元・黒江の特産品である漆器の伝統技法、蒔絵(まきえ)を施した「インテリアナンバープレート」を完成させた。

同社初の取り組みで、同社番頭の大橋善弘さん(41)の「漆器を若い人たちにも知ってほしい」という強い思いから始まった。きっかけは2019年、同社で約70年勤めた職人が亡くなり、大橋さんが部屋の掃除をしていた際、箱に入った約2000枚もの昭和初期の漆器の下絵を見つけたことだった。

大橋さんは「『すごいな』で終わらせたらもったいないと思った」と振り返り、下絵に描かれていた昔の絵柄を基に、現代にリバイバルさせる取り組みを企画。若い人たちが使いたいと思えるような作品にするため、地元高校生とのコラボレーションに至った。

同プロジェクトは昨年5月に始動し、生徒らは漆器の伝統技法の蒔絵について、同社の工房を見学しながら知識を深めた。また、プロダクトデザイナーによるワークショップでは、アイデアの出し方について学び、古い漆器の下絵を活用した作品のアイデアを1人100個ずつ出し合った。

最終候補の中には、自動販売機やワイヤレスイヤホンカバーというアイデアもあったが、「和歌山にはご当地ナンバーがない」という問題提起と、徳川御三家の中で唯一ご当地ナンバーが存在しない「紀州」という地名を全国に広めようと、ナンバープレートの案を採用。

その後、下絵を使ったデザインを生徒から集め、その中から井上実希さん(17)の絵が選ばれた。ナンバープレートには、紀州の文字の横に県の都道府県コードの「30」、紀州の「き」の隣に市町村数の「9(市)20(町)1(村)」が記載されている。

約1年の活動の集大成を披露しようと、このほど同校で生徒らによるプレゼンテーションが行われ、初めて目にする完成作品を前に、井上さんは「自分の絵が実物になったことがなかったので、まだ信じられない」と感動。

部長の奥野絢香さん(17)は「デザインの出し方を学べ、何より蒔絵のデザインにふれたことで描きたいものが広がった」と話し、「コロナ禍で入学したので行事が何もできていない中、高校生活の大きな思い出になった」と笑顔で振り返った。

大橋さんは「地元の伝統産業と若い人を近づけていくきっかけになれば」と期待。「漆器にこだわらず、新しいものを発想していくことを大切にしてほしい」と生徒らに呼び掛けた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。