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和歌祭を未来へつなぐ 紀州研で企画展

公開日 2023.04.14
唐人装束の説明をする𠮷村准教授㊨

5月14日に開かれる紀州東照宮の例祭「和歌祭」を前に、和歌山大学(和歌山市栄谷)紀州経済史文化史研究所展示室で企画展「和歌祭の現在と未来」が始まった。和歌祭は昨年創始400年の節目を迎え、新たな一歩となる。同研究所の𠮷村旭輝准教授(44)は「次の450周年に向けて、市の指定文化財として和歌祭の進むべき方向とは何なのか、展示を通して過去から学び、現在、未来を考える機会にしてもらえれば」と話している。

12日には同大の図書館前で恒例のオープニングイベントが開かれ、𠮷村准教授をはじめ、紀州藩御船手方ゆかりの「御船歌(おふなうた)」をうたい継ぐ有志団体「和歌祭唐舩御船歌連中」のメンバー6人が「長唄」の「あめふり」を披露。

絵巻やびょうぶを基に再現された南蛮風の唐人装束を身にまとった留学生10人が登場し、ことし新調の2着もお披露目された。

唐人行列は、和歌祭が始まった1622年からある演目の一つで、当時のポルトガルやスペインといった外国人の奇抜な南蛮装束が基になっている。行列は65年の縮小令に伴い断絶していたが、2017年に同大の留学生によって約350年ぶりに復興。ことしも12人の留学生が参加する。

𠮷村准教授は「日本にやって来た留学生が祭りに参加することで地域との交流はもちろん、400年前の日本人がどのように外国人を見ていたのかを実体験できる機会」と話し、ことし初めて参加するインド出身のグプテ・ルタさん(25)は「こんな衣装を着たことがなかったのでうれしい。和歌祭が楽しみ」と心待ちにしていた。

同展では留学生らが着用していた装束や、戦後に新調されたと考えられるものを含む獅子頭など約60点を展示。300年祭当時の写真や350年祭の記念品など、貴重な資料がずらりと並ぶ他、1935年の同祭の様子も上映されている。

和歌祭当日の午前11時からは紀州東照宮境内の同研究所ブースで「和歌祭見学会」も開かれる。

展示は6月2日まで。開館時間は午前10時半から午後4時まで。休館日は土・日曜と祝日、図書館の閉館日。