とらふすクラシック300回記念 17日寄付演奏会
わかやま新報毎週木曜掲載の音楽コラム「とらふすクラシック」の連載300回記念寄付コンサートが17日午後2時から、和歌山市西高松の県立図書館2階「メディア・アート・ホール」で開かれる。新進気鋭のバイオリニスト・澤亜樹さん(藝大フィルハーモニア管弦楽団コンサートマスター)を迎え、和歌山ゆかりのアーティストたちが、クラシック音楽のビギナーからディープなファンまで楽しめる多彩なプログラムを演奏する。
「とらふすクラシック」は、紀州徳川家第16代当主・徳川頼貞が残した2万点を超える西洋音楽コレクション「南葵音楽文庫」が県に寄託され、里帰りしたことを機に、6年前にスタートした。
今回のコンサートは、より多くの県民が音楽に親しみ、貴重な南葵音楽文庫を知ってもらおうと、頼貞や同文庫ゆかりの曲でプログラムを構成。収益は同文庫に寄付する。
澤さんは、東京藝大音楽学部、英国王立音楽院を首席で卒業し、同藝大修士課程修了。パリ国際バッハコンクール・バイオリン部門2位、青山音楽賞新人賞など多数の受賞歴があり、現在は同藝大非常勤講師も務める。父で和歌山市出身のバイオリニスト・澤和樹さんと共に県の音楽振興に貢献し、和歌山のファンにも親しまれている。
今回は、コンサートのプロデュースを手掛ける同市のピアニスト・宮下直子さんとの共演で、プロコフィエフのバイオリンソナタ第2番などを演奏。20世紀の大作曲家プロコフィエフは頼貞と親交があり、1918年の来日時には頼貞の自宅を訪れ、現代音楽について語り合うなどしている。
クラシックファンでなくても作品を耳にすることが多い、クライスラーやエルガーの作品なども演奏される。
出演はこの他、「黒江万金堂」(岡本万貴さん=フルート、金谷幸三さん=ギター)、南方美穂さん(クラリネット)、中川千絵さん(ピアノ)、中村心春さん(フルート)、有馬陽子さん(チェロ)、柴田陽さん(ピアノ)の多彩なメンバー。南葵音楽文庫研究員の近藤秀樹さんによるお話もある。
中でも、高校・大学生の中村さん、有馬さん、柴田さんによる、若い才能を目の当たりにできる三重奏は注目の一つ。
演奏するのはメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番。頼貞が英国留学からの帰途に交流したチェロ奏者パブロ・カザルスが著名な録音を残している作品で、今回はバイオリンのパートをフルートで演奏するバージョンとなっている。
実行委員会は「出演者、演奏作品の全てが頼貞や和歌山とゆかりがある、またとないコンサートをぜひ、会場で楽しんでください」と呼びかけている。
チケットは前売り3000円、当日3500円、学生1000円。取り扱いは県民文化会館、和歌山城ホール、LURUMUSIC(和歌山市狐島)、ウェブ(https://musicmart.zaiko.io/item/355753)。
問い合わせは実行委(℡073・457・1011)。