世界マスターズ水泳で金 86歳の岡田さん
8月2日から11日まで開かれた世界マスターズ水泳選手権2023九州大会で、和歌山市の岡田義信さん(86)が、85~89歳の部・100㍍背泳ぎで金メダル(2分06秒18)、50㍍背泳ぎで銀メダル(1分02秒01)を獲得した。週3回、1000~1500㍍を泳ぎ、筋トレで体を鍛え上げ、大会に挑んだ岡田さんは「メダルを取るために練習を重ねてきて良かった」とガッツポーズで喜んだ。
【写真説明】金と銀メダルを獲得した岡田さん
同大会は世界水泳連盟が主催。1986年に第1回大会が東京で開かれて以降2年に1度開かれている。日本での開催は37年ぶり。ことしは約100カ国の地域から1万人の選手が出場。5歳刻みの年齢カテゴリーで競い合った。
新和歌浦で生まれ育った岡田さん。子どもの頃から海で泳ぎ、西和中学校と桐蔭高校では水泳部に所属。「中学の頃、100㍍自由形で70秒を切ったのは僕が初めて」だそうで、団体で出場した近畿大会で2位となるなど、優秀な成績を残している。
高校卒業後は家業の衣料品雑貨店を継ぎ、水泳をやめた。その後「小僧寿し」の加盟店となり、和歌山本部を設立。多い時には40軒近い店舗を抱え、忙しい日々を過ごした。趣味といえばゴルフだけ。「他にすることないの?」と家族に言われ、何かに挑戦しようと考えた時、水泳が頭をよぎった。「もう一度泳いでみよう」――。
70歳を過ぎていたが、プールに入ってみるとブランクを感じないぐらい泳げた。泳ぐ気持ち良さも実感し、水泳に全力を傾けるようになった。「仕事以外の新しい友達がたくさんできて世間が広くなった」と岡田さんは笑う。
現在は吹上地区自治会長や交通指導員などをしながら、同市太田のスポーツジム・パルポート太田で泳ぎの基礎を学び、体を鍛えている。
コーチの向井万理主任(38)は「いろんな人に泳ぎ方のこつを聞くなど、とても研究熱心。泳ぎ続ける限りメダルを取ってもらいたい」とその姿勢を評価する。
次は14~18日に金沢で開かれる「日本マスターズ水泳選手権大会」に出場する。18歳から100歳以上まで幅広い層の選手約3千人が参加する中、背泳ぎ50㍍、100㍍、200㍍で戦う。同大会に10年連続出場している岡田さんは主催者から表彰される予定。
岡田さんの引き締まった肉体と、姿勢の良い立ち姿は年齢を感じさせない。「水泳の仲間、コーチ、みんないい人ばかり。みんなに会いたくて通っている」とにっこり。今後の目標は「記録より気力。あと10年は全力で泳ぎたい」と練習を続けている。
向井主任は「こんな元気な86歳の人を見たことがない。私も岡田さんみたいになりたい」と話していた。