和歌山県立近代美術館で、6月30日(日)まで、企画展「土が開いた現代革新するやきもの」が開催されています。
第2次世界大戦後の20世紀半ば以降、京都を中心に、従来の茶わんや花瓶などとは異なる前衛的なものを追求する動きが出てきました。作家たちは、焼き物の技術を使いながらも、従来の茶わんや花瓶といった実用のための陶器から、芸術としての陶器を生み出すことに取り組み始めました。
企画展では、前衛陶芸や現代陶芸といった言葉とともに開拓されてきた表現の世界に着目。その歴史を追いながら作品を紹介しています。30作家の作品113点(うち112点が同館所蔵)。
【展示構成】
1.前衛陶芸の誕生―1940-50年代
2.前衛陶芸の展開―1960年代
3.イメージの拡張:日常の理(ことわり)―1970年代
4.土の可能性への挑戦―1980年代
5.装飾の再定義―1980年代後半から
6.素材への問い―1990年代以降
会場に入り、最初に目にする作品が、戦後の前衛陶芸の先駆者・林康夫の作品「人体」(1950年、同館蔵)。
白と黒のコントラストが美しく、見る角度によって表情を変えます。
シルクスクリーンの技法で、新聞やダンボールの文字や画像を転写して作られています。
どこから見ても陶器とは思えない作品です。
1960年代、アメリカでポップアートが盛り上がりをみせます。
身の回りにある大量生産の商品や、大量消費の日常生活などを題材とした作品が生み出されました。
佐藤敏の「失題」(1966年、同館蔵)
「つるはし」を打ち込み、自分の存在を問いかけるような作品。
川上力三「座考シリーズ−空中楼閣−」(1983年、同館蔵)
江戸後期(1771年)に初代清水六兵衞が京都・五条坂に開窯した「六兵衛窯」。
8代・六兵衞を襲名した清水柾博の作品。「WORK 87-A」(1987年、同館蔵)
陶器の面と面を重ねた幾何学的な造形。土の板を切り取り、窯に入れた際に生まれる縮みやゆがみなどを生かしています。
陶でつくられた正12面体をボルトでつないで球体に。大・中・小を3重になっています(写真左)。
特別出品、南野馨「untitled 1402」(2014年)。
時代による表現の変遷、素材と形、それぞれの作家の探究を陶の中から見いだしてください!
【会期】6月30日(日)まで
【時間】午前9時半~午後5時(入館は4時半まで)
【休館】月曜
【観覧料】一般520円、大学生300円
※高校生以下、65歳以上、障がい者手帳を持っている人、県内に在学中の海外留学生は無料
※第4土曜、5月25日と6月22日は無料
名称 | 和歌山県立近代美術館 |
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所在地 | 和歌山県和歌山市吹上1-4-14 |
電話番号 | 073-436-8690 |
営業時間 | 9:30~17:00(入館は16:30まで) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日) |
web | https://www.momaw.jp/ |
@moma_wakayama |
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