
和歌山市のニューレトロな商店街「北ぶらくり丁」。昭和の時代は大繁華街でしたが…。夕暮れ時から深夜までぶらり飲み歩いてみた。
焼鳥ではない鶏炭火焼き
ぶらくり酒場五三

2024年3月にオープンした「ぶらくり酒場五三」は、正確には「北ぶらくり丁」には属さず、ぶらくり丁がにぎやかだった時代、「ぶらくり丁大通り商店街」で煎餅を焼いていた店舗を利用して営業しています。

土間キッチンに小上がり座敷。なんとも懐かしいこの雰囲気の中、一軒目飲みスタート。以前、朝から夕方まで1日5軒の飲みきレポート「オッサン女子が行く! 和歌山昼飲みおすすめ5軒はしご」でお付き合いいただいたデザイナーMさんと、「さぁ、今日も飲むぞ~」と。気合い満々。

まずはビール! サッポロの「赤星」(中瓶650円)で乾杯。最近、生ビールより、瓶ビールがおいしく感じるのは“おっさん女子あるある”なのかもね~なんて、話しながら…。もちろん「生ビール」(小450円、中650円、大1100円)もありますよ~。

お店の名物は「炭火焼き」。入り口の“焼きスペース”でファイアーしながら焼き上げます。

「ひねどり」(小500円)と「うめどり」(小500円)をオーダー。鶏肉は、塩や鶏油(ちーゆ)、昆布茶などでもみ込まれてから、炭火で真っ黒に焼かれます。火と一緒に煤(すす)が上がることで、おいしくなるのだそう。

宮崎名物「鶏炭火焼き」のような味わい。「ひねどり」は噛み応えがあって噛めば噛むほど鶏のうま味が、「うめどり」はやわらかくてパクパクと。店主・小浴佑介さんが東京で勤めていたお店が、宮崎地鶏を炭火で焼いて提供するお店だったそうで、地元和歌山でもこのスタイルを踏襲。「せせり」(600円)、「砂ずり」(650円)も必食。他、「豚バラ」(750円~、追加ソース+100円)や「シャケ」(780円)、「サバ」(900円)、「ホッケ」(1000円)と豚肉も魚も炭火焼きで提供しています。

こちらも店主自慢! 「だし巻き玉子肉のせ」(550円+肉のせ200円)。濃いめのつゆと肉とだし巻きがベストマッチ。ごはんのおかずにもなりそうだ~。他にもスピードメニューやサラダ、揚げ物、一品と居酒屋の定番メニューがずらり。「僕が居酒屋に行って食べたいなと思う料理ばかり。そして、濃いめの味が好きなので、お酒がすすむはず」と店主。ちなみに店主はお酒はそれほど飲めないらしいですが、のんべえたちの胃袋をつかむのは上手です。

深夜3:00まで営業しているので、しこたま飲み歩いたあと、小腹を満たす〆使いにもぴったり! ごはんものもうどんも焼きそばも食べられます。
名称 | ぶらくり酒場 五三 |
---|---|
所在地 | 和歌山市元寺町1-79 ![]() |
電話番号 | 080-6123-0535 |
営業時間 | 17:00〜翌3:00 |
定休日 | 火曜 |
@burakurisakaba_53 |



JR和歌山駅東口から移転
YAKITORI鳥ふじで鶏刺し

2軒目は、2024年12月にJR和歌山駅東口から北ぶらくり丁へ移転してきた「YAKITORI鳥ふじ」へ。

中に入ると、真っ黒の内装で焼き鳥屋さんっぽくないたたずまい。高級感が漂っていますが、それは雰囲気だけ。お料理もお酒もお手頃価格でおいしく楽しくいただけます。

串ものに行く前に、「鳥刺しいっときましょか~」「生ものには日本酒だよね~」と、「龍神丸」でおなじみ高垣酒造(和歌山県有田川町)の「紀ノ酒純米吟醸」を一合(1199円、グラス836円)。とっくりとおちょこで涼を感じますね。日本酒のラインアップは「平和酒造の紀土」「世界一統の南方」「中野BCの超久」「吉村秀雄商店の鉄砲隊」(各グラス649円、一合1078円)など和歌山の地酒に、他府県の銘酒も。店主の伊藤真人さんいわく、「料理の味を邪魔しない、すっきり爽やか、キリっと飲めるお酒」をそろえているそう。

「鶏刺」は「三種盛」(1078円)と「五種盛」(1958円)があります。「京都丹波朝霧どり」の朝挽き鶏は新鮮そのもの。肉質やわらかなブランド鶏なので食べやすいです。「五種盛」は肝、心、ささみ、砂ずり、胸たたき。ワサビ、ショウガ、焼き鳥のタレ入りごま油、岩塩、刺身醤油をお好みで。

「京都丹波黒どり」の「すね肉ともも肉のタタキ」(1628円)。すね肉は弾力があってじゅわ~と口の中にうま味があふれ、もも肉はムチムチで皮目が香ばしく、ワサビ、岩塩、刺身醤油、どれで食べてもおいしいけど、私は塩&ワサビの組み合わせが好きかな~。「京都丹波黒どり」は地鶏なので、適度な歯応えが良き良き。

あっというまに一合完飲。串ものは、「ソリレスアカ(ももの一部)」「おたふく(胸腺)」「白子(精巣)」「つなぎ(心のこり)」といった希少部位も数量限定であり(仕入れがない場合もあり)、1本からオーダーOK(串は220円~)。「丹波黒どり焼鳥丼」(968円)や軟骨、砂ずり、鶏ももの唐揚げも気になります。

店内は奥に広く、テーブル席でゆったりと食事が可能。2階席で宴会もできます。
名称 | YAKITORI 鳥ふじ |
---|---|
所在地 | 和歌山県和歌山市匠町44-1 ![]() |
電話番号 | 073-427-8188 |
営業時間 | 18:00~22:30(OS料理21:30、ドリンク22:00) |
定休日 | 火曜 |
@yakitori_torifuji |
下町風情で粉もん飲み
わたしのテッパン

空き店舗をリノベーションして2024年3月にオープンしたお好み焼き店「わたしのテッパン」。さんざん食べて飲んでの3軒目にはちょっぴり重めだけど、粉もんとビールって間違いなく“てっぱん”の組み合わせ。

和歌山のクラフトビール「ナギサビール」があったので、ペールエールとアメリカンウィートを1本ずつ(各700円)。お好み焼きが出来上がるまで、アテを注文して飲みます。

「お酒がススム」とメニューに書かれてあったので、迷いなくオーダーした「ピリ辛めんたいソーセージ」(480円)。チーズとマヨネーズを乗せ、上からバーナーで炙って完成。ソーセージのプリプリ感にめんたいこの辛味で、おっしゃる通り! ビールがすすみます。

他にも「ぎょうざ」(1個80円)、鉄板で焼く「だし巻き玉子」(400円)、「とんぺいやき」(450円)など、飲めるメニューがいっぱい。「ネギやき」(すじ入り1300円)や「ホルモン塩焼きそば」(1200円)もつまみに最高!

さてさて、こちらはアテ用に頼んだ「エビ焼き」ではありません。「殻ごと食べられる! 特大エビ」のお好み焼き「特えび玉」(1380円)のエビ。

人気はお好み焼きの王道で定番の「ぶた玉」(950円)らしいのですが、今宵はちょっぴり豪勢に。生地と先ほどのエビが出合い、ソースが塗られ、糸状の細いマヨネーズの線がシャシャシャっと描かれ、かつおぶしをがさっと、青のりをふりふり…。

殻付きエビは文句なしにおいしいですが、すりおろした山芋がたっぷり入ったふわふわの生地は、なかなかおうちではまねできない妙味。

店主・桑島英樹さんの両親は神戸でお好み焼き店を営んでいて、生地には並々ならぬ思い入れがあるそうで…。ピリッとパンチの効いた濃厚旨辛「どろソース」が用意されているのも、店主のこだわり。神戸発祥の「そばめし」(すじ入り1100円)も自慢の一品です。

こちらのお店は、“客焼き推奨店”で、カウンター席に座ると、目の前で店員さんが焼いてくれますが、テーブル席や個室では自分で焼くスタイルです。ちなみに、お店の人が焼くのを「店焼き」、お客さんが自分で焼くのを「客焼き」と言うそう。どうしても店員さんに焼いてもらいたい場合は、注文時にお願いしてみてください。
名称 | お好み焼き専門店 わたしのテッパン |
---|---|
所在地 | 和歌山県和歌山市匠町43 ![]() |
電話番号 | 073-422-4079 |
営業時間 | 11:00~OS14:00、17:00~OS21:00 |
定休日 | 火曜 |
@watashino_teppan |



秘密のボトルショップ
euphoric/ユーホリック

4軒目は本当は教えたくない秘密のボトルショップ。小さな小さな映画館「シネマ203」や、オーストラリアス人が営むオーストラリアスタイルの隠れ家カフェ「OAK ESPPESSO(オークエスプレッソ)」などが入居する「北ぶらくり丁会館」の一室で、これまた、ひっそりと営業している酒屋「euphoric(ユーホリック)」。

銭湯&サウナ好きのご夫婦が、「幸福湯の帰りに寄っていたビアバー『NEST(ネスト)』が閉店しちゃって、風呂上がりのビールが飲めなくなっちゃた」と、酒類販売業免許を取得して2024年3月にオープンさせたクラフトビールの酒屋さんです。

国内、海外ブルワリーのクラフトビールを仕入れて販売するテイクアウト専門のボトルショップで、醸造所に併設された「タップルーム」ではありませんが、スーパーやコンビニでは扱われない、珍しいビールがそのときどきに入荷され、購入したビールは店内で飲むこともできます。

では、さっそくいただきましょう。ビールは1本800円~、ロング缶は1本1400円~です。ビビッときた銘柄を「ジャケ買い」するのもよし、オーナー夫婦に好みのタイプを伝えてセレクトしてもらうのもよし。お気に入りのブリュワー、銘柄…、お気に入りの1本がきっと見つかるはず。

購入したビールを店内で飲む人には、ビール1本につき駄菓子が1個選べるうれしいサービスも。小さなお店なので一人飲み、二人飲みくらいで。店内に響く音楽が心地よく、オーナー夫婦とのおしゃべりも楽しくって、ついつい長居したくなりますが、さっと飲んでさっと退出しましょうね。水・木曜20:00~23:00、金曜21:00~深夜0:00の営業日でもお休みする日があるので、インスタ(@euphoric.beer)で営業日を確認してから来店がおすすめ。

さてさて、夜も更けってきて、私もいい感じにできあがってきたので、本日はお開きとします。

もちろん、おうち用ビールもゲットしましたよ~。「ビール1本だけの購入もウエルカム」とオーナーご夫婦。
あ~、今宵も散財。次はどこを飲み歩こうかな~。
名称 | euphoric(ユーホリック) |
---|---|
所在地 | 和歌山市中ノ店北ノ丁22 北ぶらくり丁会館3階 ![]() |
電話番号 | なし |
営業時間 | 水・木曜20:00~23:00、金曜21:00~24:00(気まぐれで変更あり、営業情報はインスタのストーリーズでご確認を) |
定休日 | 月・火・土・日曜 |
@euphoric.beer |
記者・ライター・編集者歴21年。硬派な記事も軟派な原稿も書きこなせるけれど、偏食家のためグルメレポは結構ツライ。ちょっと変わり物なので、独特の視点で表現するとよく言われ、その個性は大事にしつつ、正確な情報を伝えます。ビールが好き、韓国が好き!