HOME 特集 【和歌山県】レトロな町並みを散歩 ~橋本・海南・湯浅・御坊・田辺・新宮~

まるでタイムスリップしたような、どこか懐かしい情景が広がる和歌山県内に点在するレトロな町並み。細い路地や歴史を感じる建物が並ぶエリアには、穏やかで心やすらぐ空気が漂います。日頃の喧騒を離れ、ゆっくりと散策してみませんか。

橋本市高野口町

かつて、高野山への玄関口として旅人を迎えてきた高野口駅前。歴史を感じる木造建築や古い商店が点在し、ゆったりとした時間が流れています。
<電車>
JR和歌山線 高野口駅前すぐ
<車>
京奈和自動車道 高野口インターから約7分

明治期の旧旅館が趣あるカフェに
【café 葛城館】

葛城館

JR高野口駅前に佇む、3階建ての木造建築。明治中期に旅館「葛城館」として誕生し、今はカフェとして新たな息吹を吹き込まれています。かつて宿として愛されたころの面影を残す広い玄関、そしてアンティークの調度品が並ぶ館内は、どこか懐かしく温もりある雰囲気。

葛城館

抹茶やほうじ茶を使った和スイーツとともに、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

名称 cafe'葛城館(かふぇ かつらぎかん)
所在地 和歌山県橋本市高野口町名倉1053 地図
電話番号 0736-42-2017
営業時間 13:00~18:00
定休日 火~木曜
駐車場 あり
Instagram @katsuragikan

江戸期に築かれた商家の邸宅
【前田邸】

前田邸

江戸時代から続く商家・前田家の店舗兼住宅。主屋は江戸期の趣を色濃く残す貴重な建築として高く評価されており、中書院は明治中後期、土蔵は江戸末期から明治初期にかけて建てられたものと伝わります。さらに大正5年(1916年)には新書院が完成し、時代ごとの建築様式が見事に調和しています。国の登録有形文化財にも指定。
※現在は外観のみの見学が可能
※場所は こちら

美術館のような古民家銭湯
【高野口乃湯】

高野口乃湯

旧名倉村(現在の橋本市)の村長宅だった明治期の木造平屋が、銭湯として生まれ変わって営業中。

高野口の湯

玄関や休憩所は明治、浴場は令和の建物。主浴槽、ぬるめの炭酸泉、露天風呂、サウナ、水風呂で構成されています。無料アメニティーや貸し出しタオル(100円)があるので、手ぶらで訪れて非日常感を楽しんで。

名称 高野口乃湯
所在地 和歌山県橋本市高野口町名倉950 地図
電話番号 なし
営業時間 10:00〜22:00(最終受付21:30)
定休日 第2・第4火曜
駐車場 あり(30台)
Instagram @kouyaguchi_noyu

海南市黒江

漆器の町として栄えた歴史を今に伝える黒江。細い路地には黒を基調とした格子戸の町家が立ち並んでいます。かつて紀州漆器の職人たちが暮らし、技を磨いたこの地には、工房やギャラリー、古民家を活用したカフェなどが点在。歩くたびに木の香りや漆のぬくもりが感じられます。

<電車>
JRきのくに線 黒江駅から徒歩約15分
<車>
阪和自動車道 海南インターから約7分

漆器に美しく盛られた心づくしの料理
【古民家カフェ 黒江ぬりもの館】

黒江ぬりもの館

築約180年の紀州漆器職人の工房をリノベーションした、趣ある古民家カフェ。やさしい味わいの料理を、美しい漆器の器で味わうことができます。大崎漁港のひじき、和歌山市の新ショウガ、紀美野町のユズ、紀州うめどりなど、地元の恵みを生かしたメニューが豊富にそろいます。

黒江ぬりもの館

館内には、かつて使われていた作業台や古い写真が展示され、黒江の歴史と漆器文化の奥深さを感じながら、ゆったりとした時間を過ごせます。

名称 黒江ぬりもの館
所在地 和歌山県海南市黒江680 地図
電話番号 073-482-5321
営業時間 11:00~17:00
定休日 火・水曜(祝日は営業)
駐車場 あり
web https://kuroe.info/
Instagram @kuroenurimonokan.kainan

和歌山の銘酒「黒牛」を試飲
【黒牛茶屋】

黒牛茶屋

慶応二年創業の「名手酒造店」が直営する、風情あふれる茶屋。館内には、酒樽や古い道具をリメイクした温もりある椅子やテーブルが並び、落ち着いた雰囲気が漂います。日本酒や梅酒などの利き酒を楽しめるほか、酒類や酒かす、オリジナルグッズなどのお土産も充実。ジュースを片手にひと休みするのにもぴったりです。黒江の町歩きの途中に立ち寄ってみて。

名称 黒牛茶屋
所在地 和歌山県海南市黒江846 地図
電話番号 073-482-1115
営業時間 【売店】10:00~17:00
【利き酒】10:00~16:00
定休日 【売店】年末年始【利き酒】毎年12月
駐車場 あり
web https://kuroushi.co.jp/
Instagram @kuroushi_sake

湯浅町伝建地区

湯浅駅から北北西へ歩くこと約10分、国が選定した「湯浅町湯浅伝統的建造物群保存地区(伝建地区)」に到着。醤油などの醸造で栄えた、昔ながらの町並みが残ります。

<電車>
JRきのくに線 湯浅駅から徒歩約10分
<車>
湯浅御坊道路 湯浅インターから約8分

受け継がれてきた昔ながらの醤油
【角長】

角長

1841年(天保12年)創業の老舗醤油蔵。機械に頼らず、冬の寒い時期にだけ仕込みを行う伝統の寒仕込みを守り続けています。江戸時代から受け継がれる手づくりの製法によって生まれる、豊かで深みのある天然の風味。本店の建物(加納家住宅)は、歴史的価値の高さから国の重要文化財にも指定されています。

角長

店舗近くにある新館では、足踏み小麦ひき割機や仕込桶などしょうゆ作りの道具が展示された資料館として、一般に公開されています。

名称 角長(かどちょう)
所在地 和歌山県有田郡湯浅町湯浅7 地図
電話番号 0737-62-2035
営業時間 9:00~17:00
定休日 無休(店舗販売)
web https://www.kadocho.co.jp/

江戸時代創業の公衆浴場跡が資料館に
【甚風呂(じんぶろ)】

甚風呂
甚風呂

江戸時代の末期に創業したと伝わる、歴史ある公衆浴場。1985年にその長い営業を終え、2009年からは「銭湯跡歴史民俗資料館」として一般公開されています。番台や浴槽、壁の広告などは当時の姿のまま残され、往時の雰囲気をそのまま体感できます。

さらに、たき場など浴場の裏側も見学でき、湯浅の人々から寄贈された貴重な古民具の展示も見応え十分。入場は無料です。

名称 銭湯跡歴史民俗資料館 甚風呂(じんぶろ)
所在地 和歌山県有田郡湯浅町湯浅428 地図
電話番号 0737-20-2033
営業時間 9:30~16:30
定休日 水曜(祝日の場合は翌日)
web http://www.denken-yuasa.sakura.ne.jp/jinburo/

御坊市御坊

「御坊」という地名は、戦国時代に本願寺がこの地に建立されたことに由来します。当時、寺院のことを「御坊」と呼んでおり、本願寺の別院を中心に町が形成されました。今もその名残を感じさせる町並みが残り、歴史と信仰が息づく地域です。

<電車>
紀州鉄道 市役所前駅から徒歩約10分
<車>
湯浅御坊道路 御坊インターから約8分

御坊市の名の由来となった名刹
【本願寺日高別院】

日高別院

住宅街の中に静かに佇む「本願寺日高別院」は、1540年に湯川直光が吉原(現在の美浜町)に建立した浄土真宗本願寺派の寺院です。豊臣秀吉の紀州攻めで焼失した後、1595年に現在の地へ移されました。以来、人々から「御坊さん」と親しまれました。

現在の本堂は1825年に再建されたもので、太鼓楼や鐘楼堂が並ぶ壮観な境内には、樹齢400年を超える和歌山県指定天然記念物のイチョウがそびえ立ちます。

※幼稚園が併設されているため、園児の安全のため自由見学は不可。事前に電話予約すると、本堂などへの拝観が可能(無料)

名称 本願寺日高別院
所在地 和歌山県御坊市御坊100 地図
電話番号 0738-22-0518
営業時間 10:00~16:00
定休日 土・日曜、祝日
駐車場 なし(参拝者は境内に駐車可)

豪壮な姿から「日高御殿」の異名も
【旧中川邸】

旧中川邸

「旧中川邸」は、昭和初期に材木商として繁栄した中川家が建てた邸宅で、1938年に完成。その堂々とした佇まいから「日高御殿」とも称された豪邸です。現在は無料で見学することができ、重なり合う複雑な屋根や洋風の応接間、繊細な格子細工など、和と洋の美が見事に融合した当時の贅と美意識を感じられます。かつて元内閣総理大臣・東久邇宮稔彦王や南方熊楠も滞在したという歴史ある邸宅で、昭和の気品と趣に浸ることができます。

名称 旧中川邸
所在地 和歌山県御坊市御坊字東中筋106 地図
電話番号 0738-23-2455
営業時間 11:00〜15:00
定休日 水曜
駐車場 あり

田辺市上屋敷・中屋敷

紀伊田辺藩は3万8千石を領有。紀伊国南部の政治・経済・文化の中心として発展し、熊野古道の要衝としても栄えました。現在も城下町の面影が残り、歴史と伝統を感じさせる地域です。

<電車>
JRきのくに線 紀伊田辺駅から徒歩約17分
<車>
阪和自動車道 南紀田辺インターから約8分

田辺領主・安藤帯刀の居城跡
【田辺城水門跡(錦水公園)】

田辺城
田辺城

江戸時代の面影を今に伝える歴史的スポット。田辺城は1619年、徳川頼宣が紀州藩主となった際に、付家老・安藤帯刀が田辺領主として築いた居館です。江戸時代は一国一城制のため天守閣などの高層櫓はありませんでしたが、内堀・外堀を備えた立派な構えから、幕末には「錦水城」とも呼ばれていました。現在は石垣が残るのみですが、公園として整備されています。

※場所は こちら

和歌山が生んだ智の巨人を感じて
【南方熊楠顕彰館】

南方熊楠

明治から昭和初期にかけて活躍した博物学者・南方熊楠が晩年の25年間を過ごした住居「南方熊楠旧邸」。庭には、熊楠が新種の変形菌「ミナカテラ・ロンギフィラ」を発見した柿の木が今も残り、書斎や居間は当時の姿に復元され、研究と生活が一体となった熊楠の世界を垣間見ることができます。

南方熊楠

隣接する「南方熊楠顕彰館」では、直筆の手紙や膨大な研究資料を展示し、変形菌の研究やエコロジー思想など、その先進的な業績と人物像を詳しく紹介。自然と知の融合を体現した偉人の足跡をたどる、知的探訪にふさわしいスポットです。入館料は350円(高校生以下無料)。

名称 南方熊楠顕彰館・旧邸
所在地 和歌山県田辺市中屋敷町36 地図
電話番号 0739-26-9909
営業時間 10:00~17:00(最終入館16:30)
定休日 月曜、第2・4火曜、 祝日の翌日  ※2025年度は火曜も開館(祝日の翌日は除く)
駐車場 あり
web https://www.minakata.org/

新宮市丹鶴

紀伊新宮藩は、水野重仲が1619年に紀州藩初代・徳川頼宣の付家老としてこの地に入り、藩政を担ったのが始まりです。石高は約3万5千石で、政治・経済・文化の要地として熊野地方の発展を支えました。現在も城跡などがその歴史を伝えています。

<電車>
JRきのくに線 新宮駅から徒歩約14分
<車>
阪和自動車道 すさみ南インターから約1時間

新宮の栄華を物語る城址公園
【新宮城跡(丹鶴城公園)】

新宮城

丹鶴山に浅野氏によって築かれ、水野氏が居城とした「新宮城」。明治時代に取り壊されましたが、現在は城跡一帯が「丹鶴城公園」として整備されています。築城以前、公園内からは新宮市街や熊野川を一望でき、春には桜が咲き誇り、夜のライトアップが幻想的な雰囲気を演出。国指定史跡であり「続日本100名城」にも選ばれたこの地では、壮麗な石垣が今も往時の面影を伝え、歴史と自然が調和する美しい景観が楽しめます。

※場所は こちら

アメリカ人宣教師チャップマンの旧邸
【旧チャップマン邸】

チャップマン邸

1926年、西村伊作の設計によって建てられた、アメリカ人宣教師チャップマンの旧邸。木造2階建ての住宅で、建物中央に配置された玄関ホールを中心に各部屋へつながる動線が設けられており、プライバシーを重視した設計が特徴です。南側に突き出した半八角形のベイウインドウが印象的で、当時としてもモダンなデザインでした。昭和期に増改築され、一時は旅館として利用されたことも。

チャップマン邸

2019年以降は新宮市の観光交流施設として活用され、現在ではワーケーション拠点(利用は有料)としても人気を集めています。2020年には国の登録有形文化財に指定。観覧無料。

名称 旧チャップマン邸
所在地 和歌山県新宮市丹鶴1-3-2 地図
電話番号 0735-23-2311
営業時間 9:00~17:00(観覧)、9:00~21:00(貸館)
定休日 月曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場 あり

大正・昭和のモダンデザインを体現
【旧西村家住宅(西村伊作記念館)】

西村家

与謝野寛・晶子らとともに「文化学院」を創設し、自由教育の先駆者として知られる西村伊作の自邸。日本人の暮らし方を見直し、より豊かな生活様式を提案するために、伊作自身の設計で建てられました。1914年の完成以降、与謝野晶子をはじめ多くの文化人が集うサロンとしてにぎわいを見せました。

西村家

リビングに並ぶ家具のすべては伊作によるデザインで、陶芸や油絵など彼の多彩な作品も展示。近代日本の住宅思想と文化交流の精神を今に伝える貴重な文化遺産であり、国の重要文化財(建造物)にも指定されています。入館料は大人220円、小中学生 110円。

名称 旧西村家住宅(西村伊作記念館)
所在地 和歌山県新宮市丹鶴1-2-14 地図
電話番号 0735-22-6570
営業時間 9:00~17:00
定休日 月曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場 あり