日本人未踏・NFLに挑む、元アマチュア横綱!アメフト選手花田秀虎【和歌山県和歌山市出身】
2020年、「第69回全日本相撲選手権」で優勝し、大学1年生ながら”アマチュア横綱”となった花田秀虎さん。しかし、アメリカンフットボールのプロリーグ「NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)」出場への夢が諦めきれず、アメフトに競技を変更。現在、アメリカ・コロラド州立大学で奮闘中の彼にインタビュー。
目次
相撲からアメフトに転身。きっかけは?
大学1年生でアマチュア横綱に
ーアメフトをするまでは、相撲をされていたんですね
小学校2年生の時に参加した「わんぱく相撲大会」で優勝したことがきっかけで、そこから大学3年生まで相撲を続けてきました。
ー大学1年生で「全日本相撲相撲選手権」を優勝するのは快挙だったとか
大学1年生(19歳)での優勝は、1984年に優勝された久嶋啓太さん(元前頭久島海)以来で36年ぶりでした。記録を残せてうれしかったですね。
現在はアメリカ・コロラド州でプレー
相撲で数々のタイトルを制し、「大相撲でも横綱を目指せる逸材」と一目置かれていた花田選手。絶頂期の中で、アメリカンフットボールへの挑戦を決意。
ーそんな絶頂期の中、どうしてアメフトを?
中学生の頃、アメフトのプロリーグ・NFLのスーパーボウル(=優勝決定戦)を見て感じた「自分もNFLに出てみたい」という思いが消えなくて。最初は相撲とアメフトの両立を目指していましたが「本気でNFLを目指したい」と思いアメフトに専念することを決意しました。
ーアメフトへの転向に迷いはありませんでしたか
迷いはありませんでした。日本の国技である相撲が、アメリカの国技であるアメリカンフットボールに、どれだけ通用するか、早く試したいと思っていましたね。
ー今はアメリカを拠点にプレーされているんですね
日本体育大学を休学して、2023年8月にアメリカのコロラド州立大学へ編入しました。まずは在学中の2年間、コロラド州立大学でアメフトの経験値を上げていきます。
ーアメリカ生活で苦労したことは?
英語、食事、気候です。友達との会話は半分くらい分かってきましたが、大学の授業は理解するのが大変。そして、渡米してから月日が経つにつれて、日本食が恋しくなるように…。
また、大学があるコロラド州は、州全体の平均標高がアメリカで1番高い、“山岳地帯”の州です。空気がとても薄くて、渡米後して間もない頃の「インターバルトレーニング」は地獄でした…。
ーそれは大変そうですね…。頑張った自分へのご褒美はありますか
超デカいアメリカントマホークステーキを食べます!あとは、ウォーキングとジョギングを繰り返して、気分転換をしたり。最近は、日本食を作って、チームメイトにふるまうことにハマってます!
アメフトのプレーで活きた、相撲での経験
日本の国技がどこまで通用するのか試したい
ーアメフトの本場でプレーして、感じることは?
アメリカ人選手の、びっくりするほど極端な「オン・オフ」です。試合や練習になると急にスイッチが入り、まるで別人に。それほど、アメフトに命をかけて取り組んでいます。あと、観客の盛り上がりが半端ないです。毎回、鳥肌が立つほどの大歓声がスタジアムに響き渡ります。
ー相撲の経験が生きた瞬間はありますか
相撲で培った体の柔軟性と力の伝え方が、アメフトでヒット(=敵に当たりに行くこと)するときに活きていますね。 僕のポジションは、ディフェンスライン。敵(オフェンスライン)との格闘するプレースタイルが、相撲と似ているんです。
ーここは負けない!花田選手の強みは?
1対1の(1on1)の強さです。絶対に負けません!
2023年10月、背番号「93」でNCAA公式戦に出場
ー渡米して3ヶ月で、NACAA(全米大学体育協会)の公式戦に出場されたんですね
はい、2023年10月にコロラド州フォートコリンズで公式戦デビューしました。相撲の立ち会いで、”相手に当たって押されない力”は磨いてきたので、体の強さでは全く負けていなかったと思います。
和歌山は「人間の土台を作ってくれた場所」
ー和歌山で思い出の場所はありますか
僕の体の土台を作った、「和歌山県営相撲場」の土俵、「紀三井寺」の階段、「奥山稲荷社」の坂道、「長町公園」の鉄棒です。
ー和歌山で行ってみたい場所は?
「紀三井寺」にケーブルカーができたと聞いたので、乗ってみたいですね。いつも階段は、ダッシュで駆け上がっていたので…(笑)
ー好きな和歌山フードは?
「ラーメン丸花」の醤油・豚骨全部増しです!
ー花田さんにとって和歌山とは?
僕という、人間の土台を作ってくれた場所。和歌山で過ごし、相撲を極めた時間は何ものにも代え難い時間です。フィジカル面の成長はもちろんですが、相撲を通して得たものは“礼儀”と”尊重”。挨拶と礼節、対戦相手を敬う心がいかに大切であるかを学びました。
日本人未踏の夢舞台に挑む、元アマチュア横綱
アメリカの4大プロスポーツ「NFL(アメフト)・NBA(バスケットボール)・MLB(野球)・NHL(ホッケー)」の中で、日本人が出場を果たせていないのは、NFLだけ。相撲のキャリアを持つ彼がアメリカで経験を積み、どんな大躍進をしてくれるのか…。期待が高まるばかり。
ー今後の目標は
2023シーズンはNCAAの規定により、練習生だった僕の出場は4試合だけ。僕はアメフトの経験値が低いので、2024シーズンは試合にフル出場して経験を積み、活躍したいですね。大暴れします!
ー10年後、思い描く将来像はありますか
NFL選手として、現役バリバリで活躍していたいです。あと、グローバルな視野とローカルな視点を併せ持つ、社会に貢献できる大人なりたいですね。
はなだ ひでとら/2001年10月30日生まれ、和歌山市出身。小学校2年生から相撲を始め、和歌山商業高校では「世界ジュニア相撲選手権」の無差別級を2連覇。日本体育大学に在学中の2020年12月、「第69回全日本相撲選手権」を制しアマチュア横綱に。子どもの頃からのあこがれ、アメフトに挑戦するため2022年3月に国内最高峰の社会人アメフトリーグ「Xリーグ」のトライアルに参加。社会人チームの強豪「富士通ルロンティアーズ」で練習する機会に恵まれる。その後、22年10月に大学を休学、活動をアメフト1本に。2023年1月に開催された国際試合「日米ドリームボウル」では、全日本選抜チームの一員に“クロスオーバーアスリート枠”として選出。アメリカ・コロラド州立大学に2023年8月編入。23年10月公式戦デビュー。185cm、130kg▷インスタ@torajiro.hanada ▷YouTube@hnd_hdtr0001
和歌山出身、編集歴3年のひよっこライター。スイーツをこよなく愛し、気になる新店はくまなくチェック。あま~い食べ物とそのお供・コーヒーやお茶の紹介はお任せあれ!現代アートやコスメ、ファッションも大好き。