「世界津波の日」制定 国連総会で満場一致
国連総会(193カ国)本会議は日本時間23日午前5時50分ごろ、広村(現広川町)の濱口梧陵が「稲むらの火」で人々を津波から救った11月5日を「世界津波の日」とする決議案を満場一致で採択した。制定を祝って同日、同町の津波防災教育施設「稲むらの火の館」に横断幕が掲げられ、除幕式が行われた。
「世界津波の日」は1854年11月5日、安政南海地震の際に濱口梧陵が稲束に火を放って津波の襲来を人々に知らせ、高台に誘導して命を救った「稲むらの火」の逸話が残る日。日本政府は同日を「津波防災の日」と定めており、さらに世界に津波防災を発信するため、「世界津波の日」とする決議案を国連総会に提案していた。
史上最多といわれる142カ国が共同提案に名前を連ね、今月5日の国連総会第2委員会で全会一致で採択。本会議での正式な決定が待ち望まれていた。 横断幕は「稲むらの火の館」入り口近くに設置され、除幕式には「津波防災の日」「世界津波の日」制定を提唱した衆院和歌山3区選出の二階俊博衆院議員(自民党総務会長)や西岡利記町長らが出席。「祝 稲むらの火 11月5日『世界津波の日』制定」と記された縦1㍍、横3・3㍍の横断幕が披露された。
二階議員は「『稲むらの火』のこの日を『世界津波の日』に取り上げてもらうことができ、大変うれしい。こうなった以上は、広川町や県が中心となって次なる提案、模範的な活動をしていかなければいけない責任がある。皆さんの協力を得て、しっかり根付かせていく。同時に、政治の仕事として災害を少しでも小さく、また(災害時に)人災を被ることがないように努力したい」と語った。
西岡町長は、今後各国から「稲むらの火の館」をはじめ町内を訪れる人々が増えることを想定し、多言語の案内板設置や、町内の小中学生が英語で案内できるように勉強してもらうなどの取り組みを進める考えを表明。「世界の方々に見学してもらい、津波で犠牲者を一人も出さないということが世界に広まれば、梧陵さんが一番喜ばれると思うので、そのことを今後も訴えていきたい」と話した。
除幕式の後、町役場前の町民多目的広場で制定記念の餅投げが行われた。祝砲の花火の打ち上げを合図に、二階議員や西岡町長らが3俵分(約180㌔)の紅白餅を投げ、集まった町民らは歓声を上げて拾っていた。
来年1月16日午後6時半から、「稲むらの火 11月5日『世界津波の日』制定記念の会」が同町広の町民体育館で開かれる。特別ゲストにインドネシア・アチェ津波博物館のトミー・ムリア・ハサン館長を迎え、「稲むらの火の館」との調印などの行事が予定されている。
問い合わせは実行委員会(二階事務所内、℡0738・23・0123)。