全身トロのスマ出荷へ 県など養殖技術開発

出荷サイズに成長したスマ

県水産試験場(串本町)などは全国で初めて、人工産卵・ふ化させた「全身トロ」のスマを出荷サイズの全長45㌢に到達させることに成功した。今後、東京、大阪、和歌山に出荷し、市場の評価を確認。県養殖業の振興が期待される。
仁坂吉伸知事が12日の定例会見で発表した。

スマは大変美味でありながら日本ではほとんど漁獲されないため「幻の魚」と呼ばれる。同試験場、東京海洋大学、㈱丸東(串本町)の研究グループは養殖の新たな有望魚種としてスマを選び、平成25~27年度の3年間、種苗生産技術の開発に取り組んできた。

25年度には全国で初めて種苗の量産技術を開発。スマは低温に弱いが、26~27年度には生産した人工種苗450尾の海上いけすでの越冬にも成功した。昨年11月には100尾の残存を確認。生後1年3カ月で体長45㌢、1・5㌔の出荷サイズに到達し、身質が出荷可能な状態であることを確認した。

今回は日本橋三越本店・吉川水産(東京)、阪急うめだ本店まぐろ寺本(大阪)、和歌山マリーナシティ黒潮市場(和歌山)に計約30尾を出荷。16日の販売を予定している。

百貨店などとの取引価格は1㌔3000円程度で、これは高級マグロに匹敵する価格帯という。

試食した仁坂知事は「背の部分もトロみたいで、むちゃくちゃおいしい。将来性がものすごくある」と期待。スマ養殖にはマダイ養殖のいけすが活用できるといい、「来年は民間(の水産業者)にもどんどん勧めて増やしていきたい」と話した。

今後は種苗生産の低コスト化、稚魚を飼育施設内から海上いけすに移す「沖出し」後の生存率の向上などに取り組み、スマ養殖の普及を目指すとしている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。