HOME 和歌山ニュース 南野上小を舞台に撮影 海南ロケの短編映画
制作発表会で(左から)田村さん、坂口監督、溝渕さん、紅羽さん、西村さん、加藤さん

来年3月末に廃校となる海南市立南野上小学校を舞台にした短編映画『ブランコの約束(仮)』の撮影が、同校をはじめ市内で行われた。紀の川市貴志川町出身の坂口勝紀監督(33)がメガホンを取り、元NMB48メンバーの溝渕麻莉亜さん(26)が主演するヒューマン映画で、2026年2月、きみの海南映画祭で上映を予定。150年の歴史がある同校や最後となる児童も出演する他、黒沢牧場、歴史民俗資料館なども撮影に使われた。

【写真】南野上小学校の教室で撮影が行われた

若い力を借り地域活性化を目的としたイベントを企画する、まちの調査団実行委員会(田村まさみ実行委員長)のプロジェクト「令和7年度振興局地域づくり支援事業(補助事業)」として制作。

昨年、映画『SUZUKI』で監督デビューした坂口監督が廃校の話を聞き、「何かかたちに残したい」と映画化を決めた。

脚本は、前作に続き加藤遥子さん(36)が担当。「故郷や過去の記憶が、現在の自分を見つめ直すきっかけになる。ふるさとに帰りたくなるような話がつくれたら」と話している。

物語は、東京で暮らす海南市出身の主人公の山本みなみ(溝渕さん)が、孤独で疲れた日々を送る中、地元の親友、鈴木きみか(紅羽さん)から母校が閉校になると連絡があり、18年ぶりに海南市へ帰る。懐かしい風景や家族との暮らしを思い出す中で、自分が忘れていた大切な思い出により、みなみの心が変化し、これから歩む道を改めて考えていく――という内容。

海南ノビノスで開かれた制作発表会では、坂口監督は人がいるからまちがあるということを伝えたいと話し、「子どもの笑顔、子どもたちへの思いなど、町の良さや地域の人の温かさを映せたら」と意気込みをみせ、溝渕さんは「自分の過去と通じるものがある。過去の自分と向き合ったことを思い出し演じられたら」と話した。

大阪市の北加賀屋で活動するガールズ劇団、劇ファクトリー「aon座(あおん)」(西村菜波座長)の団員らもまちの調査団として出演する。

団員で上富田町出身の紅羽さん(24)は、みなみの親友役で出演。「思い出には良いことや思い出したくないこともあり、それが今の自分をつくっている。ふるさと側の人間として演じたい」と話した。

先日、南野上小学校で、みなみが地元の親友、鈴木きみかと母校を訪れ、担任だった教諭と再会する場面や談笑するシーンの撮影があり、俳優やスタッフ約10人が参加。半日以上かけて約10分のシーンを撮った。

立ち位置やカメラワークなどのテストを繰り返し本番に挑み、坂口監督は「細かな手の動きが欲しい」「振り向くタイミングが遅い」などと指導し、細部まで修正しながら何度も撮り直した。坂口監督は「たくさんの人の協力があって撮影ができる。牧場での夕暮れ時の撮影は時間とのたたかいで大変だった。教室での撮影は順調でした。楽しみにしていてください」と話した。