HOME 和歌山ニュース 復旧工事少しずつ進む 豪雨災害から2年の長保寺

2023年6月の豪雨により、本堂の裏山が土砂崩れを起こして境内に流れ込み、木が本堂の屋根に倒れて屋根瓦が割れるなど大きな被害に見舞われた海南市下津町上の長保寺。2年が過ぎた今も拝観停止の状態が続いている。

【写真】崩れた斜面を特殊な工法で補強

同寺は長保2年(1000)に建立されたと伝えられる紀州徳川家の菩提寺で国宝、重要文化財など1万点以上を有し、境内の敷地は1万5000坪にもおよぶ。

法嗣(ほっし)の瑞樹弘芳さんによると、土砂崩れのあった場所は国指定史跡で、文化庁の方針決定のもと価値を守りながら少しずつ復旧作業が進められているという。

ことし1~6月には、裏山に重機を入れる道を作り、本堂に流れ込んだ土砂を取り除いた。その後、崩れた斜面を保護し安定させる工事に入り、京都の清水寺など国宝で採用されている「連続繊維補強工法」で実施。自然環境との調和を図り、景観に影響を与えないようセメントを使わず、繊維を土砂や混合材とともに噴射し、のり面を一体化させて補強した。今後は本堂の復旧工事にかかり、年度内には着工できる予定だという。

瑞樹さんは「長く心配をおかけしていますが、少しずつ進んでいますのでもうしばらくお待ちいただければ幸いです」と話す。

11月3日の十夜会と奉納コンサート、12月31日の除夜の鐘つきは通常通り行い、一般の人も参加できる。

問い合わせは長保寺(℡073・492・1030)。