HOME 和歌山ニュース 中国ワインを楽しもう 普及へ和歌山市で夕食会
中国ワインの魅力を紹介した(右から)楊ブランドマネージャー、張社長、李社長

中国ワインへの関心が日本で高まっている。欧州産などに比べて知名度はまだ低いものの、国際的な品評会で受賞するブランドも多く、品質の高さが徐々に知られつつある。和歌山でも中国ワインの魅力を発信しようと、試飲・夕食会が和歌山市内のレストランで開かれ、ソムリエや経営者ら約30人が、香りや味わいが異なるワインの数々を飲み比べ、食事とともに楽しんだ。

【写真】参加者のグラスにワインを注ぐ張社長㊨

国際ブドウ・ワイン機構(OIV)が発表した2024年の世界ワイン生産・消費概況によると、中国は国別の生産量が世界15位、消費量が10位で、いずれもアジアの最上位。日本の輸入量は増加傾向で、中でも高価格帯が伸びている。

中国で最初に近代的なワイン生産を始めたのは、県と友好提携している山東省の煙台で1892年に創業した「張裕(チャンユー)」。当初から欧州の醸造技術とブドウ苗木を導入した本格的な醸造所を設立し、現在は世界5大メーカーの一つに数えられる。

和歌山での夕食会は、煙台出身の張業金さんが社長を務め、チャンユーなど中国ワインの日本での販売を手がける升恒酒業㈱(山梨県)が主催。同じく煙台出身の李思成社長が経営する㈱中通国際(和歌山市)、㈱1-D ROYAL、協和プレス工業㈱、わかやま新報が協力し、同市のレストラン「CELL BLOCK(セルブロック)」で開かれた。

最初に登場したのは「チャンユー リースリングR268」。1915年パナマ太平洋万博の品評会で金賞を受賞し、中国ワインの伝統と品質を象徴する白ワイン。繊細な果実香や爽やかな酸味が調和した味わいで、参加者は興味津々の様子で乾杯した。

中国を訪れた外国首脳の晩餐会で提供されてきた高級赤ワイン「シャトーチャンユー AFIP A8カベルネ・ソーヴィニヨン」(2022年ジャパンワインチャレンジ最高賞受賞)も登場。オーク樽の熟成香などに果実味が重なり、深みのあるどっしりとした味わいに、感嘆の声が上がった。

升恒酒業のブランドマネージャーで、国際的なワイン資格の最高レベル(WSET Level4Diploma)を有するセバスチャン楊さんが、全5種類のワインの特徴や楽しみ方を丁寧に解説し、より深く中国ワインを理解する夜となった。

料理は、セルブロックの神谷龍雄シェフが腕を振るい、A8を使用した牛すじ肉のワイン煮込み、五香粉をきかせたカモのロースト、キノコのショートパスタなど、各ワインとの相性や中国を感じさせる工夫を凝らした品々を提供。参加者は一皿一皿を堪能しながらワインの杯を重ねていた。

ソムリエの榎本知珠さんは「上質のワインだった。香りや味のバランスが素晴らしく、料理との組み合わせも良かった。今後はヴィンテージの違うものなども味わってみたい」と中国ワインへの関心を深めていた。

張社長は「和歌山は人の温かさが山東省と似ていて、地元に帰ったような気持ちになった。参加した皆さんの反応は予想以上に良く、ありがたい。中国ワインは日本では試す機会がまだ少ないが、品質には自信がある。もっと好きになっていただければうれしい」と今後の普及へ期待を話した。