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和歌山ニュース 龍神村伝説を音楽劇に 7日「恋小袖の瀧」

龍神村伝説を音楽劇に 7日「恋小袖の瀧」

公開日 2018.09.30

和歌山県田辺市龍神村に伝わる民話を基にした音楽劇「恋小袖の瀧」が10月7日午後1時から、和歌山市民会館小ホールで開かれる。「紀州の民話をオペラに実行委員会」が主催。脚本と演出、総合プロデュースを手掛けた杉山みかんさんは「単なる悲恋の物語でなく、平安末期の歴史的背景を多く盛り込みました。豊富にある和歌山の民話を若い世代にも伝えていきたい」と話している。

3回目となる今回の音楽劇は、平安時代末期の龍神村を舞台にした、山里の娘お万と、平清盛の孫・維盛(これもり)の、はかない恋の物語。

源平合戦の最中、お万は、村に身を寄せた維盛に一目ぼれ。維盛の身の回りの世話をするうちに、維盛の里女房になる。源氏の軍勢が迫り、平家の滅亡を知った維盛は、失意のまま護摩木をたいて平家の行く末を占う。煙は天に昇らず谷に下り凶を示し、覚悟を決めた維盛は那智の滝に身を投げる。残されたお万の運命はいかに…というあらすじ。

出演は、お万役に、2015年度和歌山市文化奨励賞を受けたソプラノ歌手の上島幸恵さん。維盛役に関西二期会正会員のテノール歌手、竹内直紀さんら。とらふす少年少女合唱団のメンバーや子どもエキストラも舞台に立つ。

特別出演する修験者、松葉良行さんのほら貝吹奏や、冒頭の弁慶と維盛の家来・嘉門との一騎打ちシーンの殺陣も見どころという。

作曲・指揮は大阪府堺市の石若雅弥さん(37)が担当。美しい旋律やスケール感のある世界を、ピアノとシンセサイザーで表現し「この時代や、演者の息遣いに沿った音楽。序曲は壮大なものに仕上がった。皆さんの心に残る曲があればうれしい」と話す。

事前に一般オーディションが行われ、和歌山大学経済学部の学生で、大学に入って合唱を始めたという日比野秀俊さん(22)が維盛の従者・衛門役に選ばれた。日比野さんは「ソロの発声や演技は初めての経験。難しさもありますが、決意と覚悟を持ち、最後まで維盛についていく衛門を演じ切りたい」と意気込む。

お万を演じる上島さんは「維盛に出会い、素朴な田舎の娘から、凛とした芯の強い大人の女性へ成長する過程を、どう表現するか。水の清らかさ、濃い緑の美しさなど、龍神村に足を運び、肌で感じた思いも乗せてお伝えできれば」。杉山さんは「政治に翻弄(ほんろう)されたのは、女性だけでなく、男も同じ。民話の中から、現代に通じる教訓を感じ取ってもらえれば」と話している。

前売り4000円、当日4500円、学生2000円。同館や県民文化会館、チケットぴあなどで取り扱っている。